セブン-イレブンが無洗米の備蓄米を販売開始し、6月末までに7000店に拡大する予定だ。備蓄米を巡っては、ファミリーマートやローソンも5日から販売を行なっている。
今後、米流通の変化にもつながる可能性があると専門家は指摘する。
コンビニ大手で備蓄米の店頭販売が急拡大
コンビニで備蓄米の販売が広がる中、セブン-イレブンが無洗米にした備蓄米の販売をスタートした。

丹羽うらら記者:
東京・葛飾区、午前7時前です。今、備蓄米が運ばれてきました。

セブン-イレブンは、随意契約で調達した備蓄米を無洗米にして、2㎏を718円(税抜き)で販売を開始し、都内の店舗では用意された10袋が約1時間半で完売した。
購入した人:
近場であるかな、どうなのかなと思っていたから、やっぱりうれしい。
購入した人:
(コンビニでの販売は)すごく便利で助かります。

セブン-イレブンでは、6月末までに約7000店舗に販売を拡大するとしている。

コンビニでの備蓄米の販売を巡っては、ファミリーマートとローソンが6月5日からすでに開始している。
拡大する需要と短期販売の供給制約が並行進行
「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
大手コンビニの備蓄米の販売が出揃いましたが、渡辺さんはどうご覧になっていますか?
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
これまで備蓄米の販売は、都市圏や大手スーパーなどに限られていたんですが、6月末から7月上旬にかけて、大手コンビニの全国約5万の店舗で販売が始まると、一挙に広がることになりそうですね。

堤キャスター:
今回の無洗米の備蓄米には、どういった狙いがあるのでしょうか?
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
米を研ぐ手間が省かれるため、便利さや時短・即時性を求めるコンビニの顧客特性に合っているのではないかと思います。
また、何より低価格の備蓄米は、集客の目玉商品となり、総菜や冷凍食品など他の商品のついで買いも促せるため、客単価の上昇を狙うようにも思います。
ただ、課題としては精米施設の稼働状況がひっ迫している中で、備蓄米は新米が出回る前の8月末までが販売期限となっているため、すべて売り切れるかどうかが不透明とされているんです。
直販拡大で低価格実現と流通改革の動きが加速
堤キャスター:
流通各社が備蓄米を扱うメリットというのは、何なのでしょうか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
今回、小泉農水相が進める備蓄米の放出販売は、大手小売などと連動して、スピード感のある展開となっています。
小売の店頭に並ぶまでに卸や集荷業者を極力使わず、流通マージンが抑えられているため、消費者に歓迎される低価格が実現されています。
ただ、政府が価格の指針を出していることもあり、安く価格を設定しているケースが多く、備蓄米の小売りの利益率は、通常の半分から3分の1にとどまっているケースもあると指摘されている部分もあります。
堤キャスター:
今回の米の高騰を受けて、今後の生産や流通も変わっていきそうですね?
消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
これから大手小売りやネットを中心に、卸や集荷業者を通さない取引が一挙に増加する可能性を秘めていると思います。
今後は「トレーサビリティー」、いつどこで誰が作ったか「生産・流通・消費」、さらには廃棄まで追跡できる状況を作れることが大事になるのではないかと思います。
また、日本人の主食である米が消費者にとって買いやすく、さらに米農家はもちろん、流通に関わる業者や小売が、適正な利益を得られる状況になっていくことを期待したいです。
(「Live News α」6月17日放送分より)