大分県内は雨のシーズンを迎えていて今後、大雨に警戒が必要です。
近年は「記録的な大雨」といった表現を目にすることが増えたように感じます。
過去に無いような雨が降ったりする理由や、去年の台風を教訓にした対策について取材しました。
◆佐藤知事
「いよいよ本格的な出水期ということになる。備蓄と早めの避難と声掛け、取り組みを実行してもらいたいと改めてお願いしたい」
17日、定例会見で佐藤知事が呼び掛けた今後の大雨への警戒。
県内は雨のシーズンに入り、先週は大雨に見舞われ避難指示が出された地域もありました。
この雨のシーズンに2024年、大きな爪痕を残したのが8月の台風10号です。
「史上最強クラス」とも言われ各地で土砂崩れなどが相次ぎました。
近年、「史上最強」「記録的」などと表現される台風や大雨が増えているように感じている人も多いのではないでしょうか。
その要因として指摘されているのが地球温暖化の影響です。
◆大分地方気象台 後藤貴士予報官
「地球が温暖化して気温が上昇すると 空気中に含むことが出来る水蒸気の量が増える。空気中に含まれる水蒸気の量が増えることによって 一度に降る雨の量が多くなる」
想定を超える大雨が降ると難しくなってくるのがダムの運用です。
課題が浮き彫りになったのが国東市安岐町にある安岐ダム。
2024年8月29日、台風10号の影響で安岐ダム流域では午後1時からの1時間に85ミリの猛烈な雨が降りました。
こちらは午後2時40分ごろのダムの様子です。
この時、ダムの決壊という最悪の事態を防ぐため緊急放流が行われていました。
緊急放流を行う場合、下流では川の水位が急激に上昇するおそれがあり、住民に知らせるため1時間前には関係機関に連絡することが義務付けられていますが、2024年はこれが緊急放流に間に合いませんでした。
◆県河川課 森下雅広主幹
「当時は、かなり予測されていな い大雨がダムの上流に降ったこともあり、何時ごろ緊急放流 になるという予測が立てづらか ったことが大きな原因だった」
このことを教訓に県では、ダムの水位予測の精度を上げようと、民間の気象会社のデータを活用することにしました。
2024年9月から安岐ダムなど県が管理する8つのダムで運用されています。
◆県河川課 森下雅広主幹
「ダムごとに流域を絞ったピンポイントの降雨予測の情報を提供してもらう体制をとっている」
さらに、以前は1時間ごとだった雨量データを現在は10分ごとに入手出来ます、
また72時間先までの雨量予測を担当者がスマートフォンで確認出来るようになりました。
AIを活用した洪水予測システムの導入も来年度の運用開始を目指しているということです。
最悪の場合、人命に関わる緊急放流の通知の遅れ。
経験が頼りにならない気象現象が増える中、過去の教訓を生かした取り組みが進められています。