三井住友とSBIは共同で新会社を設立し、資産運用サービスを強化する方針を発表した。新サービス「Olive Infinite」を来春開始予定だ。
専門家は、デジタル技術と提携による収益拡大を重視した戦略と指摘し、若年層の投資関心の高まりを背景に意義が大きいと評価している。
次世代資産運用へ三井住友とSBIが新サービスを発表
三井住友フィナンシャルグループと、SBIホールディングスが、共同で新会社を設立することを発表した。

三井住友フィナンシャルグループ・中島達 社長:
デジタル時代にふさわしい、新たな資産運用サービスの構築が不可欠。本日、新たなサービスをご紹介するに至りました。

三井住友フィナンシャルグループと、SBIホールディングスは、16日、東京都内で記者会見を行い、共同で新会社を設立すると発表した。

2026年春から、三井住友カードの個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」の決済や、資産運用のサービスを強化した「Olive Infinite(オリーブ インフィニット)」提供する。

決済サービスでは、一般申し込み可能なカードとしては日本初となる、Visaの最高ランク「Visa Infinite(ビザ インフィニット)」を採用する。

継続特典として、最大11万円相当の継続特典ポイントや、SBI証券のカード積み立てによる、最大6%のポイント還元などを行う。

資産運用サービスでは、対面やオンラインなどの有人コンサルティングに加え、AIチャットによる年中無休の相談対応など、ライフスタイルに合わせた利用を可能にする。

三井住友フィナンシャルグループ・中島達 社長:
今回の業務提携は、両グループの関係性を更に深化させ、お互いの強みを結集して、オリーブの資産運用サービスのアップグレードを図るもの。

SBIホールディングス・北尾吉孝 会長兼社長:
グループの先進的なデジタル技術をオリーブに融合して、高度かつ、パーソナライズされた提案をどんどんと実現する形にしていきたい。

両グループは新会社設立によって、新たな顧客獲得を目指している。
証券・銀行の提携が個人向け・デジタル融合で進化
「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
証券と銀行の提携が増えていますよね。

エコノミスト・崔真淑さん:
そうなんです。今回のような事例だけではなく、例えば、楽天とみずほの提携といったかたちも増えてきています。
ただ、私自身も証券と銀行の合弁会社に勤めていたことがあるので感じるのですが、この手の提携のトレンドは、20年前とは大きな違いがあると思います。
堤キャスター:
具体的には、どのような違いでしょうか。
エコノミスト・崔真淑さん:
2000年以降に規制緩和により、証券と銀行の事業提携が行いやすくなりました。かつては、投資銀行事業など、あくまでも法人部門における提携で、それも一旦は落ち着きました。
令和になっての提携は、個人部門の富裕層をターゲットにしているだけでなく、そこにデジタル機能が融合することで、効率的に収益を拡大しようとする動き、まさにフィンテックありきとなっていることが特徴の一つです。
若年層と地域を狙う提携で金融サービスを最適化
堤キャスター:
両社が提携する理由について、どうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
まず、三井住友はオリーブによって、若年層の囲み込みに非常に成功しています。
一方でSBI証券はネット口座数の凄さももちろんですが、カードで投資ができて、ポイントが貯められるという仕組みがあります。
この両者の顧客にとっては、効率的に、しかもお得に、銀行も証券もサービスを受けられるかもしれないというのが、事業提携のきっかけになったと感じます。
さらに、新NISAによって、かつてないほど若年層が投資に参画しているだけに、提携の意義が大きいと考えたと思います。
堤キャスター:
こうした提携が進むことで、どのような影響が考えられますか。
エコノミスト・崔真淑さん:
金融基盤が安定していくのは、マクロレベルでもミクロレベルで見ても、より良いサービスを受けられるという視点で、非常に良いことです。
また、地銀など人口減少で苦しんでいる地域においても、こうしたフィンテックを活用したサービスが、より広がることも予想されると思います。
(「Live News α」6月16日放送分より)