晴れの予報が続きますが、梅雨前線の動きによっては、山陰でもまとまった雨が降る可能性があります。
松江市街地では大雨のたびに浸水するエリアがあり、地元住民の頭を悩ませてきました。こうしたなか、島根県と松江市が連携して、新たな市街地の浸水対策に乗り出しました。
全国的に例年より遅れて梅雨入りした今シーズン。
九州では梅雨入り早々、線状降水帯が発生するなど災害級の大雨に見舞われました。
梅雨時期の大雨による被害。
例年、山陰地方でも発生しています。
2024年7月、松江市ではわずか3時間で100ミリを超える観測史上最大の大雨を記録。
宍道正五記者:
「この下を流れる比津川は、日頃から増水しやすい川ですが、今回も溢れ、隣のコンビニエンスストア、そして奥の交差点まで水没しています」
市街地の春日町では、近くを流れる比津川が氾濫し、辺り一帯が冠水。
住宅が浸水するなどの被害が出ました。
周辺住民:
「ここに車をとめていたんですけど、水没して廃車になりました」
「行政は一生懸命やってくれてるとは思うんですが、遅れているというのか、後手に回っていると思います」
このエリアが冠水するのは一度や二度ではありません。
元々、地盤が低く大雨の時は周囲からの雨水も流れ込むため市街地の中で真っ先に浸水被害が出ます。
島根県河川課・和泉孝嗣課長補佐:
「松江市街地の緊急浸水対策ということで、今、比津川の護岸の嵩上げの整備であったり、市の小型のポンプを設置したのがこのあたりです」
県はこれまで一時的な対策として、約8500万円かけて氾濫を繰り返す比津川など市街地を流れる一部の河川の護岸を嵩上げするなど対策を講じてきました。
島根県河川課・和泉孝嗣課長補佐:
「これだけで全ての頻発する豪雨災害で、全ての冠水を防ぐことはできないと考えています」
それでも市街地での浸水被害が改善しなかったことを受け、今年度から松江市と連携して新たな対策に乗り出しました。
松江市河川課・永田良和調整官:
「こちらが排水機場の中になります。ポンプが3台ございまして、これを事前に動かして堀川の水を事前に下げると」
その対策とは、市街地を流れる河川での「事前放流」です。
水位が上がっていなくても大雨が予測される場合に、市街地を流れる10の河川「松江堀川」の水を国と県、市が管理する5基の排水ポンプを使い、事前に宍道湖や大橋川に放流することにしました。
これにより松江堀川全体で25mプール約120杯相当の雨水が貯められる容量を確保できるといいます。
さらに…。
松江市河川課・永田良和調整官:
「ナンバー3運転指令、実行を押しまして、OK電源が入りました」
より迅速な対応を行うため、一部の排水ポンプや市内にある水門をスマートフォンで遠隔操作できるように再整備しました。
松江市河川課・永田良和調整官:
「動かさなくてはいけない時は、市役所から15分かかってここにきて、15分、10分で水位は全然変わりますので(遠隔操作は)非常に有効です」
島根県河川課・和泉孝嗣課長補佐:
「事前に水位を下げておくことで、効果は少なからずあると考えています。ですので今後、抜本的な河川改修を行いながら、それ以外の部分で市と連携して他の緊急対策などできることを少しずつやっていけたらいいと思います」
県と市は、新たな対策がどの程度効果があるのか検証しながら、必要に応じて追加の対応を検討するとしています。