北海道小樽市で半世紀以上にわたって愛されたジンギスカンの店が6月14日、13年ぶりに営業を再開する。

受け継がれていく思いを取材した。

“高台のジンギスカン店”13年ぶり復活へ

中央が盛り上がった鉄鍋で焼くジンギスカンは、まさに北海道民のソウルフード。

道民のソウルフード「ジンギスカン」
道民のソウルフード「ジンギスカン」
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ジンギスカンの店「景勝園」の復活に向け、杉目茂雄さん(41)は準備に追われていた。

「張碓峠という、ここから5分くらい小樽側に車で行った所で『景勝園』という店をやっていた。13年ぶり(に再開する)」(景勝園店主 杉目茂雄さん)

景勝園店主 杉目茂雄さん
景勝園店主 杉目茂雄さん

景勝園には400勝投手・金田正一さんや、先日亡くなった長嶋茂雄さんも客として訪れていた。

1957年に杉目さんの祖父・繁雄さんが小樽市張碓町に開いた店で、石狩湾を望みながらジンギスカンを味わうことができた。

石狩湾を望みながらジンギスカンを味わえた
石狩湾を望みながらジンギスカンを味わえた

「ここが以前お店があった場所なんですね」(ディレクター)

「去年の11月に解体して、ここの建物を。冬は雪と風が過酷な場所なんでよくやってたなと思いますよね」(杉目さん)

以前お店があった場所はさら地に
以前お店があった場所はさら地に

景勝園は13年前、建物の老朽化などを理由に閉店。

店があった場所は今、さら地になっている。

「景勝園」は老朽化などを理由に閉店
「景勝園」は老朽化などを理由に閉店

「(Q:再利用するために?)そうです。こういう風合いの木材が(今はない)」(杉目さん)

木材を再利用
木材を再利用

杉目さんは東京でサラリーマンをしていた。

祖父の繁雄さんが始めた「杉ノ目グループ」を継いだ兄が急に亡くなったため2020年、コロナ禍で北海道に戻ってきた。

グループが展開する料亭などで経営を学んだ。

国道5号線で札幌から小樽に向かう途中、スキー場の手前で左折すると高台に複合施設が見えてくる。

5月23日にオープンした「山郷」。

5月23日にオープン「山郷」
5月23日にオープン「山郷」

大きな窓から海を望める、ラグジュアリーな宿泊施設だ。

大きな窓からは海を望める
大きな窓からは海を望める

商業棟にはアウトドアのショップや自家焙煎のコーヒースタンドなど5つの店舗が入っている。

「『北海道の暮らしが集まる山』をコンセプトにした場所。地元に住んでいる人がここでショップを新たに始めたり、地元の人と一緒にこの場所をつくっていきたい」(三五工務店 尾田千泰さん)

商業棟にはコーヒースタンドなど5つの店舗が入っている
商業棟にはコーヒースタンドなど5つの店舗が入っている

景勝園はこの商業棟の5つの店舗のうちのひとつ。

かつてあった景勝園から車で5分ほどの場所だが、ここでも海が見渡せるのが店の大きな特徴になった。

海が見渡せるのが「景勝園」の大きな特徴に
海が見渡せるのが「景勝園」の大きな特徴に

受け継いだ味・鍋・祖父の思い

「地域の人が楽しめる場所をつくりたい気持ちが祖父にはあったみたいなんですよね。これは景勝園にあった鍋。このテーブルも(以前の)景勝園にあったもので、七輪を置けるようにくりぬかれている」(杉目さん)

以前の「景勝園」にあったテーブル
以前の「景勝園」にあったテーブル

受け継いだのはほかにもあった。

「タレのレシピはずっと伝承されていて変わらぬ味を提供できる。飲食店の経営目線からすると、非常に難しい立地が不安要素」(杉目さん)

営業再開に準備は万端だが、この高台の店に客が来てくれるのか不安もあった。

受け継がれているタレのレシピ
受け継がれているタレのレシピ

6月9日、知り合いなどに声をかけ試験的に店を開いた。

「うまい。めっちゃうまい」(訪れた客)

試験的にお店をオープン
試験的にお店をオープン

札幌市から訪れた家族だ。

「砂利を上って、船(のテーブル)が置いてあった。ちょうどこの船がまた復活してうれしいです」(札幌市から訪れた客)

「ありがとうございます」(杉目さん)

船の形をしたテーブル
船の形をしたテーブル

「景勝園に来たいから山郷に泊まる。そんな店にしたいと思っている。人を魅了する力のある店にしたい」(杉目さん)

「人を魅了する力のある店にしたい」
「人を魅了する力のある店にしたい」

「景勝園」は14日土曜日、13年ぶりに復活する。

北海道文化放送
北海道文化放送

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