「類例をみないほどに悪質な事案」そう指摘された、いわき信用組合の不正融資。総額は少なくとも247億円に上るとみられている。この不正融資の問題にどう向き合い、今後どのように信頼を取り戻すか?新たな経営陣を決める総代会が開かれた。
巨額不正融資 その手口
その手口は、大口の融資先を支援するために、実態のない企業を介したペーパーカンパニーを通じた“迂回融資”。そして預金者の名義を勝手に使い開設した口座を通じた“無断借名融資”というもの。繰り返された不祥事の温床とされたのが組織の隠ぺい体質だった。

預金者は「そういうことになっていると思わなかった。上の人がね。だから、それやらないで下さいって」「全部下ろして他の銀行に移動した方が良いのかなって思っている」と話す。
いわき信用組合の総代会
預金者の間に不安が広がる中…いわき信用組合の総代会が開かれた。
総代会とは、組合員の中から選ばれた総代が決算や取扱業務の決定、理事・監事の選任など重要事項を決議する場だ。

いわき市の内田広之市長は「今般の様々な問題・不祥事案は、いわき市民にとって大きなショック。私のところにも、たくさんの批判の声が寄せられている」と話す。
融資方針について説明求める声
冒頭公開された総代会で、いわき信用組合の本多洋八理事長は謝罪の言葉を述べ約20秒間頭をさげ「どうぞ当組合の再生と改善のために教えていただけますように、改めてお願い申し上げます。よろしくお願いいたします」と述べた。

いわき市に拠点を置く579の企業がメインバンクと認識し、地域経済の重要な役割を担ってきたいわき信用組合。
総代からは「資金繰りに困らないように、今までのように融資を受けさせていだけるのか」「我々、組合員を優しく見守ってくれるのか、どうか大変心配しております」など、今後の融資方針などについて説明を求める声が挙がったという。

これに対し、本多理事長は「信用組合の原点に立ち返り、個人のお客様、中小企業の皆様、そして小規模事業の皆様に対して、今まで以上に円滑な金融仲介をさせていただくことを、役員一同ここでお約束させていただきます。ご安心ください」と述べた。
新役員選出 信頼回復の方針示す
今後の信頼回復として「企業風土の改善」や「経営監視体制の確立」などの方針を示したいわき信用組合。
1「不祥事件の更なる事実関係の精査並びに真相究明の徹底」
2「経営責任の明確化」
3「経営監視体制の確立」
4「企業風土の改善」
5「内部管理体制の確立」

金成茂新理事長など新たに7人の役員が選ばれ、今後の対応を説明した。
金成新理事長は「『物申せない組織体制』あった。ですから生え抜きの者がなることによって、風通しの良い組織が作れるのではないかと思っております」と話した。
総代の一人は「返せない人には返せないってハッキリいうべきでしょうね」と話した。
役員が口座名義人に直接謝罪へ
いわき信用組合は、今後無断で口座を使っていた名義人に対し、役員が直接金額や経緯を説明した上で謝罪することを発表。対象の名義人に対し「すべて残高を処理し、請求などが及ぶことはなく、信用情報にも影響はない」などとしている。

一方、不正融資については、金融庁は立入検査を行い、事実関係の検証を進めていて、東北財務局は6月30日までに業務改善計画の提出を求めている。
(福島テレビ)