北海道石狩市の住宅街に赤ちゃんの遺体を遺棄した疑いで、17歳の少女が2025年5月に逮捕された事件。

供述などから少女は周囲に相談できず、孤立した状況だったとみられることが徐々にわかってきた。

「自宅で産んだ」(17歳の少女)

捜査関係者によると、警察の調べにこう話したというアルバイト従業員の17歳の少女。

少女は生後間もない赤ちゃんの遺体を放置したとして逮捕され、死体遺棄の非行内容で12日、札幌家裁に身柄を送られた。

「住宅の敷地内に血の付いたバッグが捨てられている」(通報した女性)

赤ちゃんの入っていたものと同型のバック(提供:北海道警察)
赤ちゃんの入っていたものと同型のバック(提供:北海道警察)
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母子手帳は未交付、同居家族も気づかず

事件は4月、石狩市の住宅街で起きた。

「あのタンクの下に赤ちゃんの遺体が入ったトートバッグが置かれていたということです」(阿部空知記者)

トートバックが置かれていた現場
トートバックが置かれていた現場

バッグの中には生後間もない男の子の赤ちゃんの遺体が―

「(バッグの)中にも血がついていて触ったらいけないと思い通報した。白いトートバッグ。A4が入るくらいの斜めがけができるもの」(通報した女性)

赤ちゃんは服を着ておらず、目立った外傷はなかった。

その後、防犯カメラ映像や聞き込みなどから少女の関与が浮上した。

「少女を乗せた車が出ていきます」(吉村直人記者)

少女を乗せた車両
少女を乗せた車両

赤ちゃんは当時、へその緒と胎盤がついたままの状態で、DNA鑑定の結果、少女の子どもであることが確認された。

捜査関係者によると、少女は調べに―

「妊娠や出産を親に言えずどうしたら良いか分からなかった」(17歳の少女)

警察によると、少女は母子手帳を交付されておらず、同居する家族は妊娠に気づいていなかったとみられている。

少女が語った“孤立の出産”
少女が語った“孤立の出産”

全国で殺害・遺棄されるなどした赤ちゃんは20年間で185人

全国で生まれてすぐに殺害や遺棄されるなどした赤ちゃんは2022年度に9人いた。

約20年では185人に上る。

親が育てられない子を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」を全国で初めて設置した病院の理事長は―

「どうしてここまで隠し通さないといけなかったんですか?って私が伺うと、だいたい10人中9人の方が親に見つかると、妊娠のことが見つかると縁を切られる、見放される、家を出て行けと言われる、これが怖かったからとおっしゃる」(慈恵病院 蓮田健理事長)

生まれてすぐに殺害・遺棄されるなどした赤ちゃんの数
生まれてすぐに殺害・遺棄されるなどした赤ちゃんの数

事件のあった石狩市では“妊娠相談窓口”を設置

「新しく相談窓口を設けましたので、よろしければお願いします」(石狩市職員)

配っているのは「にんしんSOSいしかり」のチラシ。事件を受けて石狩市では市民や通学・通勤している人を対象にした妊娠の相談窓口を設置した。

相談は無料で、ラインなどで受け付けている。

「自治体一つ一つがそういうもの(赤ちゃんポスト)を用意するというよりかは、そういうものに行く前に手前で、相談窓口を活用してつながっていく方が良い。今回のような事件になる前に行政に一言声をあげていただければ、必ず支援することができますので。わずかなことでも結構ですので、声をあげていただければと思います」(石狩市子ども政策課 青木祐一郎課長)

大切な命を守るために何ができるのか。社会全体で考えていく必要がある。

困ったときはすぐに相談を!
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北海道文化放送
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