価格の値下がりが続いているレギュラーガソリンですが、三重県のガソリンスタンドを調べてみると、全国平均の172円を大きく下回る“140円台前半”で販売しているところもありました。なぜ三重県で安く販売されているのか、理由を調べました。
■レギュラー153円!“激安”実現した名古屋のガソリンスタンド
名古屋市中区のガソリンスタンド「タカラ石油」では6月12日、レギュラーガソリン1リットルは153円でした。前の週より3円安く、1カ月前からは11円安くなっています。

値下がりの一番の理由は、5月から段階的に拡大している政府の補助金です。6月11日に公表された国の最新調査では、レギュラーガソリン1リットルの全国平均の小売価格は172.2円で、原油価格の低下もあって7週連続の値下がりとなりました。
タカラ石油の価格は、全国平均より20円近く安い価格となっています。
タカラ石油の山内三慶さん:
窓拭きをしないし、灰皿清掃もお客さんにやってもらって簡素化して、できるだけ多くのお客さんに安く提供できるように。輸送コストが愛知は低いんじゃないかな。三重の四日市とかから(入ってくる)。

国の調査でも、愛知県のガソリン価格は165.1円で全国で最も安く、三重県四日市市などにある製油所からの距離が近いことも理由のようです。
■三重は全国屈指の激安エリア?専門家が指摘した「メカニズム」
全国のドライバーがガソリン価格を共有する「gogo.gs」というサイトがあります。6月12日の最安値のランキングを見てみると、10位以内に松阪市や伊勢市など、三重県内のガソリンスタンドが5つもランクインしていました。

実際に伊勢市周辺のガソリンスタンドを確認しに行くと、名古屋の激安スタンドよりもさらに10円近く安い、140円台前半の表示が並んでいました。
隣の明和町のガソリンスタンドでは、プリペイドカードを使うと1リットル144円で給油できるとあって、多くの客の姿が見られました。

客ら:
一番安いやろ、ここらへんでは。
安いから来るしかないっすね。
伊勢に買い物に来たついでに。鳥羽だとここより10円くらい高いかな。
四日市の製油所からは少し距離があるように感じますが、ガソリンの流通に詳しい専門家は、「競争が激しい」ことが安くなっている要因だと話します。

桃山学院大学の小嶌正稔教授:
一番大事なのは、競争が激しいということです。三重県の場合は、安売りするお店がいくつかあります。幅広く安い価格が広がることによって、市場全体が安くなってしまうメカニズムが三重には働いている。
小嶌教授によると、製油所からの距離による輸送コストの違いはせいぜい1リットル3円程度で、三重県の場合は、名古屋周辺と関西地方を行き来する客などを狙った安売り競争が定着しているのではと指摘します。

桃山学院大学の小嶌正稔教授:
三重県の方がそんなにたくさんガソリンを使っているかというと、そんなことはないはずなんです。大阪と名古屋の間を結ぶ幹線道路沿いで安く売ることによって、たくさんのお客さんを集めることができるという市場環境がある。
■今後のガソリン価格の見通しは
石油情報センターによりますと、6月9日時点のレギュラーガソリン1リットルの全国平均の価格は、7週連続で下がって172.2円です。
5月22日からは、1リットル5円分の国の補助金がスタートして、1週間ごとに1円ずつ補助金の額を増やしてきました。6月12日からはさらに1円増え、上限の1リットルあたり10円になりました。

石油情報センターによりますと、中東情勢などで原油価格が上がっているため、次の調査ではほぼ横ばいになるのではということです。
また、県ごとのガソリンの平均価格をみてみると、愛知は全国で一番安くなっています。三重は14位でしたが、隠れたガソリン激安地帯になっている場所もありました。

小嶌教授によると、ガソリンスタンドがタイヤ交換や車検などメンテナンスのサービスに力を入れる中で、三重県ではガソリンの販売に特価したスタンドが多いそうです。
三重のガソリン販売量はスタンドあたりで愛知より25%多く、クルマ1台あたりでみても愛知のおよそ1.5倍ということで、県外から客を呼び寄せていると言えそうです。
(東海テレビ)