初夏を告げる伊予市の風物詩―削り節のだし飲み比べにホタルの光舞う夜
愛媛県伊予市では初夏の訪れを感じさせる風物詩が次々と始まっている。
県内で一番早く開催される「伊予市ふれあい土曜夜市」、地元の人に愛され続ける「からきのガンス」、そして中山町では39年の保存活動を経て今年も美しく舞うホタルの光。
初夏の伊予市を彩る三つの風物詩を訪ねた。

県内最速!伊予市ふれあい土曜夜市は削り節のまちならでは
伊予市の郡中駅前通りから灘町商店街一帯では、6月7日・14日・21日の3日間、「第40回伊予市ふれあい土曜夜市」が開催される。この夜市は愛媛県内で一番早く始まる夏の風物詩だ。
「元々もう愛媛県では1番の夜市ですから」と語るのは、伊予市ふれあい土曜夜市実行委員長の菊澤康さん。
午後5時から9時まで通りは歩行者天国となり、多くの出店でにぎわう。

削り節のだし試飲体験
今年の夜市では、郡中まち元気サロン「来良夢(こらむ)」での「削り節のだし試飲体験」に注目が集まっている。
副実行委員長の相原克俊さんは、伊予市で50年以上続く「相原海産物店」の代表。削り節など乾物を扱う専門店を営んでおり、夜市では削り節だしの飲み比べ体験を行う。
「削りの街の郡中でこういうのをやっぱりやってですね、郡中らしさというか、夜市の特徴のあるものにしたいと思ってます」と相原さん。
飲み比べではカビ付き節と荒節の二種類を用意。カビ付き節は良性のカビをわざとつけて長期保存できるようにしたもので、旨味や香りが増す高級品だ。荒節はカビをつける前の状態となっている。各日で削り節の種類を変え、サバ節やアジ節なども楽しめるという。

「からきのガンス」地元の人々に愛される一品
郡中駅前通りにある「からき天ぷら店」は、地元の人々に長く愛されている惣菜店だ。
店内には揚げ物がずらりと並ぶ。
中でも人気No.1は「からきのガンス」。1枚200円(税込)で、白身魚の練り物に衣をつけて揚げた一品だ。
「ちょっとピリカラなのがまたビールに合いそう」という声もあり、夜市ではこの「からきのガンス」も登場する予定だという。
癖になる味わいで、地元の人々はもちろん、訪れる人々をも魅了している。

39年の保全活動が実る中山町のホタル
伊予市の中山町では、初夏になると栗田川沿いをゲンジボタルの光が彩る。この美しい光景の裏には、中山ほたる保存会の39年にわたる地道な活動がある。
「保存会を立ち上げるまでは全然いなかったんですよ」と語るのは、中山ほたる保存会会長の永井志朗さん。現在10人の会員で、ホタルを卵から育て自然に帰す保護活動や、幼虫のエサとなるカワニナの養殖を行っている。

ゲンジボタルの光を楽しんで
永井さんによると、今年は5月13日に初飛行を確認。例年より1週間ほど遅いものの、「今年最高です」と話す。ホタルは6月下旬まで観察できるが、ピークは6月上旬だという。
夜7時半頃から飛び始め、7時45分頃が見頃で約30分間が最も美しい時間だ。
「もう、この土地のじゃないんです」と謙遜する永井さんだが、地域の自然を守る活動の成果は明らかだ。
栗田川沿いの野中地区では、初夏の夜、ゲンジボタルの光が川面を照らし、訪れる人々を魅了している。「楽しんでいただけたらと思います」と永井さん。
地域の文化と自然を守る人々の取り組みが、伊予市の初夏を一層豊かなものにしている。
