随意契約の備蓄米が売り出される一方で、いわゆる「銘柄米」の価格は高止まりしている。
そんな中、大手コンビニでは“おにぎり”の値下げセールが始まった。今後のコメの値動きは？
「コメが価格高騰する中、コンビニの“おにぎり”も高くなっています。そんな中で、セブン-イレブンから朗報です」（安野陽介ディレクター）
大手コンビニチェーンのセブン-イレブンでは、原材料費の高騰のため2025年1月と4月に“おにぎり”などの一部商品を値上げ。中には300円を超えるものもあるが…。
「6月11日から4日間、全国のセブン-イレブンで“おにぎり”セールを実施」（セブン-イレブン・ジャパン 斉藤曜介さん）
通常183円以下の“おにぎり”が108円に。その他の価格帯でも割り引きが行われる。
「コメが高騰する中、コメを身近に食べてほしい。生産者への応援も含めてセールを実施」（斉藤さん）
全国のセブン-イレブンが対象で、北海道では992店舗。11日から14日までの4日間だ。
「普段この価格のものは、あまり買わない。セールなのでちょっといいものを買おうと思った」（買い物客）
同じく大手コンビニのファミリーマートでは、10日からプライベートブランドの銘柄米1.5キロが300円割り引きとなるセールを実施している。
田んぼに響く子どもたちの元気な声。
北海道雨竜町と札幌市の小学校の児童約80人が、自然教育の一環として10アールの水田に「ななつぼし」の苗を植えた。
「コメが好きだから、いっぱいできるといい」
「おいしいコメが食べられるように植えた」（いずれも参加した児童）
水田を提供した農家の大林俊之さん。コメ価格の高騰に複雑な思いを抱いている。稲作にかかる経費が重くのしかかっている。
「経費は売り上げの3～4割、1000万円を超える」（稲作農家 大林俊之さん）
このような状況の下で、安い備蓄米の価格がひとり歩きすることを心配している。
もし、生産するコメが5キロ2000円ほどの小売価格になったら。
「大赤字になり、生活はだいぶ厳しくなる。大きいところなら何とかできるかもしれないが、作付け面積が小さいところはやめざるを得ないと判断する人もいるのでは」（大林さん）
政府は50年以上続いた減反政策から転換し、コメの増産に舵を切ろうとしている。しかし、もろ手を挙げて歓迎というわけにはいかない。
「急に増産と言われても、施設が小さいと対応できない。今の施設ではキャパが超えてる。これ以上増やせば品質が落ちる。今いいからとコメばかり作っていると、下がった時にまともにダメージをくらう」（大林さん）
農林水産省が発表した、最新のスーパーでのコメの平均価格。2週連続で価格が下がるのは、2024年11月以来とのこと。
5kgあたり4223円、前週から37円下がっている。
今回の調査結果には、随意契約の備蓄米は含まれていないということだ。
特に注目すべきなのが…。
入札による備蓄米などを混ぜたブレンド米の価格は、前週より20円値下がりした。
銘柄米はそれを上回る25円の値下がりだ。
今後の価格の見通しについて、農業経済に詳しい北海学園大学の宮入隆教授は。
小売店が安価な備蓄米を直接入手し、卸売業者が抱えている銘柄米の需要が下がった。これにより銘柄米の価格も下がったのではないかとみている。
ただ、あくまで今回は緊急事態だとして今後はコメの価格や安定供給のあり方を検討すべきだとしている。
政府は50年以上続いた減反政策から転換し、“コメ増産”へ舵を切ろうとしているが…。
農家が安心して稲作を続けられる環境が重要だ。
