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ロームは1954年に京都で創業した半導体メーカーです。抵抗器からはじまり、トランジスタやダイオード、ICと開発を進めています。最近では、脱炭素社会の実現に期待されている半導体技術のSiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)などの新素材のパワー半導体の開発にも注力しています。

1971年には日系企業として初めて米国シリコンバレーに進出。今では全世界に営業、開発、生産の拠点を持ち、日本発のグローバル企業として歩みを続けています。

お客さまをはじめとする世界中のステークホルダーから選ばれる企業になるためには、品質第一の考えを大切にしたものづくりが最も重要だとロームは考えています。今回は、電源システムの多機能・低消費電力化に貢献すべく、業界で初めて(※)アナログ制御とデジタル制御を融合させた制御電源技術「LogiCoA(ロジコア)™電源ソリューション」を紹介します。

ロームが得意とするアナログ回路の性能を最大限に発揮させるために、デジタル要素を融合する設計思想に対して付与されたブランド


※2024年4月23日現在 ローム調べ

私たちの身の回りの電子機器に欠かせない「電源システム」の課題とは

AI(人工知能)等を駆使したデータ活用、自動運転(ADAS)などのアプリケーションの普及により、私たちの生活には高機能化・多機能化した機器がますます増えています。こうした機器が増えるほど、低消費電力かつ安定した電力供給が不可欠になり、機器に電力を供給・管理する役割の「電源システム」には革新が求められます。

電源システムは、小電力~中電力領域(50W~1,000W)のアプリケーションではアナログ制御、大電力領域(1,000W以上)のアプリケーションではデジタル制御と、電力領域によって異なる電源制御方式が用いられています。市場における製品数の割合でいえば、約70%を小中電力領域が占めているといわれています。特に産業用ロボット・ファクトリーオートメーションやパソコン・サーバー等の産業機器向け電源システムは、年々成長を続けている市場になっています。

近年、こうした電源システムには高信頼性や細かな制御が求められています。しかし、低消費・低コスト化が可能なアナログ制御は、高機能化の要求にこたえることが難しい高機能化が可能なデジタル制御は消費電力が大きく高コストになる、とそれぞれが課題を抱えているのが現状です。


制御電源回路における課題

業界初のアナデジ制御電源技術で社会課題解決に貢献したい

ロームはこれまで高効率なICやパワー半導体をつくることで、電源システムの省エネ化・高機能化に貢献してきました。今後、電子機器の増加や高機能化に伴い、電力消費のさらなる増加が社会的な課題となっていくと予想されます。こうした社会課題の解決に貢献したいというエンジニアの熱意が、これまでにない革新的な制御電源技術を生み出す挑戦につながっていきました。

ローム独自の制御電源技術を開発するため、2020年にプロジェクトが立ち上がり、社内外からよりすぐりのエンジニア達が集結し猛スピードで開発を進めました。入社以来一貫してLSIの商品開発に携わり、現在FAE(Field Application Engineer)として従事する横溝は、プロジェクトの目標をこう述べています。


「まず前提として“アナログと同等の消費電力とコスト“であること、なおかつ“デジタルの利点である高機能性を享受できる“こと。プロジェクトで目指したのは、平たくいえば“それぞれのいいとこ取り“をしたアナログとデジタルを組み合わせた電源の回路設計技術になります。それが最大の特長でありコンセプトになります。」

<FAE1部 産機民生パワー・モータFAE課

課長 横溝 伊知郎>


こうした目標を基に新たに開発したのが、業界で初めて専用マイコンを中心にアナログ制御とデジタル制御を組み合わせた制御電源技術「LogiCoA™電源ソリューション」です。

アナログ技術とデジタル技術を駆使して挑んだ技術革新

LogiCoA™電源ソリューションの開発では、電力の効率化や部品特性のばらつきの補正、ログや通信といった多機能化への対応など、電源の業界が抱えていたさまざまな課題を洗い出し、アナログとデジタルを融合させるという新しい切り口でひとつひとつ紐解いていきました。

フルデジタル制御での課題:消費電力とコストの削減

産業機器分野の電源システムでフルデジタル制御が進んでいない理由は、アナログ制御に比べて消費電力とコストが約10倍に跳ね上がってしまうことです。対してLogiCoA™電源ソリューションは、フルデジタル制御電源でデジタルコントローラが担う機能を低ビットのマイコンで処理できるよう「電源制御用マイコン」を独自開発することで、アナログ制御電源と同等の低消費電力かつ低コストで高機能を提供できるようにしています。アプリケーション回路の設計のエンジニアとして開発に従事している加藤はその経緯をこう語ります。


「まず第1段階として“フィードバック制御はアナログで行う”と割り切ってしまうという大きな判断がありました。それはイコール、消費電力とコストに大きく影響する“ハイスペックなマイコンは必要ない”という考え方です。

デジタル部分では、電源の状態監視・スイッチング素子のタイミング制御の最適化・キャリブレーションといった“電源の高性能化”を主眼において開発設計が進められました。

この時点で、安価な汎用マイコンを最適化・カスタマイズしていけるんじゃないか?という目論見はある程度ついていたと思います。」

<FAE1部 産機民生パワー・モータFAE課 産機民生パワー1グループ

技術員 加藤 遼>

アナログ制御での課題1:部品特性のばらつき

アナログ電源ICに携わるエンジニアを悩ませ続けてきた課題のひとつが、「部品特性のばらつき」です。電源システムは、パワーデバイスを筆頭に、ゲートドライバICや抵抗器などで構成されますが、それぞれの部品特性のばらつきがアナログ回路自体のばらつきへとつながります。その対策として設けられるのが「マージン設計」で、アナログ制御においては、各部品の定格に余裕をもたせた回路設計を常に強いられています。

LogiCoA™電源ソリューションではその課題を「キャリブレーション」というデジタルの力で解決したと、電源回路設計のエンジニアとして開発に従事している鮒谷は言います。


「キャリブレーションとは、装置出荷時に個別に回路や搭載部品のばらつきを補正したデータをマイコンに記憶させ、各種保護機能を適切な値で動作させる機能のことです。この機能を導入することで、余分なマージンを無くして部品の最適化、つまり部品サイズの小型化や定格を低減させた設計が可能になります。

例えば、電源のアナログ回路部分では大物のトランスやインダクタ等が該当しますが、これらのマージン設計をなくすだけでも貢献は大きいと思います。」

<FAE1部 産機民生パワー・モータFAE課 産機民生パワー1グループ

技術員 鮒谷 研治>

アナログ制御での課題2:動作ログデータの記録

アナログ制御の課題のひとつでもあった「動作ログデータの記録」についても、マイコンを用いることで解決したと、マイコンやOS側のエンジニアとして開発に従事している瀬端は言います。


「お客さまにとっては、動作ログデータの記録というのがデジタル制御の一番のメリットかもしれません。回路の状態を常に外から監視できることで、電源装置そのものの運用を含めた提案ができるのではないか、と期待しています。」

<ラピスLSI事業担当 MCU商品開発部 MCUマーケティング1課2グループ

瀬端 康平>


この他にもマイコンを用いたデジタル制御には、シリーズ展開や顧客ごとのカスタム開発の度に部品や回路の変更が不要になり、設計負荷を劇的に減らすことができるというメリットもあります。

また電源設計に携わる人にとって、マイコンの使用は「ソースプログラム記述から始めなければならないのでは?」と不安を感じる人もいるかもしれません。しかしLogiCoA™電源ソリューションは、電源制御用のOS(RMOS)が搭載されており、そのOS上で非常に簡単に設計できるようになっているなどの工夫が施されています。


業界に先駆けた新しい取り組みでしたが、ロームはアナログ技術とデジタル技術を駆使して試行を重ねることで、さまざまな課題を解決するLogiCoA™電源ソリューションを開発しました。

持続可能な社会の実現に貢献し、選ばれる会社であり続けるために

LogiCoA™電源ソリューションにかける想いと今後の野望について、横溝は言います。


「ロームはディスクリートからICまで幅広い製品をご提供しております。

ただ、私が何十年もこの電源業界で戦っている中で、どうしても力不足だなと正直感じていたのは、パワー回路自体を制御するコントローラとマイコン分野でした。

LogiCoA™ソリューションがどんどん展開を広げていくことで、ロームが得意とするディスクリートやアナログICがもっと活きてくる・・・!強みを活かしたソリューションとしていろんなアプリケーションに提案できると考えています。

まずは、これまでアナログの牙城だった“小中電力帯の電源装置のすべて“をLogiCoA™電源ソリューションに置き換えるという野望の達成を目指します!」


LogiCoA™電源ソリューションは、単なる技術にとどまらず、電子機器の多様化・高機能化、それに伴う省エネ化のニーズにこたえることで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。ロームは今後も、品質第一の理念の基、ひとつひとつの課題に真摯に向き合い、社会に貢献し選ばれる製品を届け続けます。


ロームの公式Webサイトでは、常に高い品質をお客さまにご提供するロームの「ものづくり」とそこに情熱を注ぐ人の物語を、動画でお届けしています。

Stories of Manufacturing

「アナ/デジ融合が描き出す これからの電源設計:LogiCoA™電源ソリューション」

動画はこちら

LogiCoA™ソリューション特設サイト

ロームの公式Webサイトにて、LogiCoA™電源ソリューションの基本構成や特長などをご紹介しています。

https://www.rohm.co.jp/support/logicoa

ニュースリリース


LogiCoA™は、ローム株式会社の商標または登録商標です。




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