箏や尺八など和楽器の音色を楽しみ、その魅力を広く発信しようと活動しているサークルが秋田市の秋田県立大学にある。学生たちは「日本伝統の楽器をいつまでも伝えていきたい」と熱のこもった練習を続けている。
日本の伝統楽器を楽しんで!
2月に秋田市のアトリオンで開かれた『初春のしらべ』。秋田県内で和楽器文化の継承と演奏技術の向上などを目指す団体からなる県三曲連盟が定期的に開いている演奏会だ。

この演奏会に2016年から学生枠で参加しているのが『県立大学和楽器サークル』。2008年に秋田市内で行われた尺八講座に県立大の学生たちが参加したことをきっかけに、「和楽器の魅力を発信したい」とサークルが結成された。

サークルの代表を務める佐藤璃奈さん(3年)は「若い世代で和楽器を演奏する人が減ってきているので、日本の伝統楽器である箏と尺八を楽しんでもらいたい。部員も楽しみつつ、秋田の人に楽しんでもらうことを目標に取り組んでいる」と話す。
和楽器サークルで演奏する楽器は、箏、尺八、十七絃。県内で活動する和楽器奏者が主に指導にあたっている。

部員のほとんどが和楽器の初心者で、経験者は小学2年から箏を演奏している代表の佐藤さんだけだ。
佐藤さんは「部員のみんなが『箏の音色が好き』とか『漫画を見て憧れた』と言っていて、楽しんで弾いてくれて、いつもうれしいなと思って指導している」と笑顔を見せる。
演奏できるようになるのが楽しい
放課後に週4回ほど行う練習。上達には正しい姿勢や指使い、息の力加減などを意識して取り組むことが大切で、この春から参加している学生も基本を身に付けようと必死に練習している。

尺八を担当する宮崎葉奈子さん(2年)は「指で押さえるだけで精いっぱいで全然音が出せなかったので、これから頑張りたい。すごく充実している。できないことができるのがすごく楽しい」と声を弾ませる。

箏を担当する木村玲奈さん(2年)は「指の角度とか使って、音も違って、そこが難しい。もっとうまくなれるように頑張りたい」と意気込む。
全員で毎週1回行う合奏練習の日は、講師の指導にも熱が入る。

都山流尺八 竹遊会 師範・高階空山さん:
若い人は演奏に早く慣れる。2~3回練習に来ると慣れる。私を超えてうまくなってもらいたい。
プロとの共演実現!幅広い普及活動へ
講師も期待を寄せる和楽器サークルの活動。和楽器の魅力をより多くの人に知ってもらいたいと、2023年に文化庁の「邦楽普及拡大推進事業」に申請。採択されたことをきっかけに、より幅広い活動が可能となった。
2月に開いたサークル主催の演奏会では、日本を代表する箏の奏者・大川義秋さんと共演し、注目された。

サークル代表の佐藤さんは「音に輝きがあって即興力もすごくて、本当に圧倒された」とプロ奏者との合奏を振り返る。
和楽器サークルは4月に新入部員が加わり、新体制でスタート。6月22日に開かれる演奏会に向けて猛特訓中だ。

10月には大学の文化祭もあり、代表の佐藤さんは「文化祭に向けて一つ一つ仕上げていきたい。今後もサークルが存続してくれたらうれしい」と語る。
伝統的な和楽器を次世代につなぐため、先輩たちから受け継がれてきた和楽器サークルは、これからも美しい音色を奏でていく。
(秋田テレビ)