解禁後、水揚げゼロという緊急事態となっていた北海道南部のスルメイカ漁。
1週間後のきょう初水揚げされ、地元からは安堵の声が聞かれた。
「水揚げゼロという異例の状況からのリベンジともいえる漁を終えて、いま函館の漁港に船が戻ってきました。果たしてどれほどのイカが釣れているのでしょうか」(木村洋太記者)
ちょうど1週間前、函館の港で見られた厳しい現実。
「私ゼロ、ゼロだもん。こんなの初めてだ」(漁業者)
6月解禁された道南のスルメイカ漁。
最初の漁ではほとんどの船で漁獲はゼロ。
初競りが中止となり漁の見合わせが続いていた。

水揚げゼロから1週間―リベンジなるか
そして、8日の夜―イカ釣り漁船10隻が戻ってきた。
獲れたのは約345キロ。
2024年より増えたものの低い水準にとどまった。
「(Q.どうだった?)だめだよまた。この間から見るといいけど空だったからね、とれた内に入らないよ魚体も全然小さいし。だから期待薄いわ」
「燃料代にはならない厳しいですね」(共に漁業者)

例年より1週間遅れとなったけさの初競り。
1キロ当たり最高で8300円のご祝儀価格がついた。
「とりあえずは水揚げがあり一息ついたかな。1週間遅れたが去年の解禁日より100キロほど多かった。だからこれから期待できるのではないか」(函館魚市場 美ノ谷貴宏さん)

朝市で人気の活イカの釣り堀。
代わりにヤリイカを使って何とか営業を続けてきたが、水槽にスルメイカが戻ってきた。
「6月1日から解禁になったが全然とれていないので(スルメイカが)あるかどうかわからなかったので釣りができてよかった」(釣り堀の利用客)
「とれてくれてうれしい。観光客の中にもスルメイカを食べたいという人が結構いる。だから私たち・観光客のためにもよかった一安心」(活いか釣り堀の担当者)

老舗のイカ専門の鮮魚店は今後の漁に期待を込める。
「きょうもないかと思ったが量が少し見えてきたのですこしほっとしている」
「(Q.価格は?)高いですよ。去年よりも高いのではないか。これがまた次につながるから漁師にもぜひ頑張ってほしい」(イカ専門店 富田鮮魚店 富田和子さん)
「イカがなければ朝ごはんは絶対食べない。今ご飯炊いてきた。どうしても食べたい、まだ小さいが高くても買ってしまう」(函館市民)

貴重になりつつあるイカ。
こちらは創業100年をこえる函館の水産加工会社。

自慢は、昔ながらの製法で作られるイカの塩辛。
木樽に住み着く発酵菌が旨味を引きだすのだという。
「木樽の伝統文化を絶やさないためにもウチには責任あるかなと思って頑張ってやっております」(小田島水産食品 小田島隆社長)

今人気を集めているのが工場の隣に3年前に開業した「塩辛バル」。
スルメイカの不漁でこの会社は塩辛を値上げ。
さらに出荷量も最盛期の10分の1まで落ち込んだ。
しかし、バルを開業したことで、直売店の人気も高まってきた。
「直接味わえることによってお客さんが満足する商品だということが認識されたのが大きいと思います」(小田島社長)

バル一番の人気はこだわりの塩辛が食べ比べできるメニュー。
気に入った塩辛をその場で購入できるのが魅力だ。

「いただきます!普通の塩辛より味が濃いですね。濃い旨味みたいなのがぎゅっと閉じ込められている気がします」(熊坂友紀子記者)
「全部美味しいので全種類買って帰るお客さんも多い」(小田島社長)

一方、こちらの水産加工会社ではイカの漁獲量が減り始めた10年ほど前から、安定して確保できる水産物を模索。
新商品の開発に力を入れている。

「干物(ホッケ、ニシン、サバ)をやったりとか。魚だけでは足りなければ農作物もジャガイモやかぼちゃとかもやりました。今年から肉の加工も取り組んでいる最中ですね」(トナミ食品工業 利波英樹社長)
2025年はローストチキンの商品化を目指している。
今後のスルメイカ漁はどうなるのだろうか。
