6月は子どもへの性犯罪などの前兆となる声かけ事案などが最も多い時期だ。
そうしたなか、北海道石狩市では愛犬とのパトロールで地域を守る取り組みが始まっている。
愛犬とパトロールで地域守る
人懐っこいプードルに柴犬やボーダー・コリー。
この日、続々と公園に犬たちが集まってきた。
この中にいるのが、トイプードルのきなこ(メス・1歳8か月)。
モフモフで元気いっぱいだ。

きなこの首にあるバッジは、地域を守るパトロール隊のしるし。

地域見守る「わんわんパトロール隊」
石狩市花川の「わんわんパトロール隊」。
きなこの飼い主、田中嘉孝さん(77)が2024年5月に始めた。
「お年寄りや子どもを見かけたら声をかけて、安全のためにパトロールしましょう」(わんわんパトロール隊隊長 田中嘉孝さん)

住民が愛犬と散歩をしながら不審者がいないか見回るとともに、子どもやお年寄りを見守る。
結成以降メンバーは続々と増えて47人になった。
「きなこが来たときにちょっと訓練したときこれはいけると思った」(田中さん)

田中さんはきなこにパトロールに必要な基礎トレーニングをしている。
でも、こんなことも。
「持ってこい!」(田中さん)
違うよ、こっちはカメラだよ。
あれ、今度は水を飲みにいっちゃった。
田中さんもちょっと照れくさそうだ。
「こんなことないんだけどなあ」(田中さん)

警察犬業務で愛犬と活躍した田中さん
30代の頃にシェパードを飼い始めた田中さん。
自らの飼い犬を嘱託警察犬とし、警察の捜査に協力する指導手として活躍した。
「やっぱり犬好きだったんですよね。犬好きで警察犬業務に携わりたかった。警察の仕事を手伝いたかった」(田中さん)
当時の愛犬マリン号は、道内の警察犬の技術を競う大会で二度も一位を獲得するなど活躍。
犯罪の捜査で出動した際にもその能力を発揮していた。
「痴漢などは非常に多かったですね。そういうときも足跡を見つけて追いかけてました」(田中さん)

2018年、田中さんは年齢を理由に指導手を引退。
2024年1月から現在の愛犬、きなこを飼い始め、再び地域のために活動したいと思うようになった。
「きなこは若いからエネルギーもらいますね」(田中さん)
散歩中に声をかけた人たちもパトロール隊に加わり、登下校時間の子どもたちを見守る。
「近所で大きい犯罪は聞いていない。抑止になったかな」(パトロール隊員)

活動通じ住民が“声かけあう”関係に
北海道警察によると2024年、子どもをねらう性犯罪などの前兆となる「声かけ」や「つきまとい」の件数は6月が最も多くなっている。
パトロール隊の活動を通じ住民が声をかけあう関係もでき、地域の雰囲気もよくなったという。
「雰囲気は明るくなりましたね」(花川第四町内会 熊谷公平会長)

今後はさらにメンバーを増やしていきたいと考えている。
「会員を増やしてこまめにこの町を見て回りたい」(田中さん)
田中さんときなこのパトロールは今日も続く。
