6日、自民党と公明党、日本維新の会が行った社会保険料の負担軽減協議でいわゆる“OTC類似薬の見直し”などが2026年度の骨太の方針に反映することが確認された。

来年度の予算編成に盛り込まれた場合、風邪薬や湿布薬などOTC類似薬を使用していた患者側の経済的負担が増える可能性がある一方で保険料の負担を減らす効果が期待されている。

しかし、この動きに「健康被害が広まるという危険性がある」と日本医師会が反発した。

“OTC類似薬見直し”へ「健康被害が広まる」日本医師会が反発

6日、自民党と公明党、そして日本維新の会が行った社会保険料の負担軽減についての協議。

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保険適用で市販薬より安く手に入る医薬品、いわゆる“OTC類似薬の見直し”など2026年度の骨太の方針に反映することが確認された。

日本維新の会・阿部圭史議員:
(Q.湿布薬とか花粉症薬とかある程度領域に関して進めていくよって所まで踏み込んで書かれている?)湿布とかそういったことについては基本的に文言としては入っていまして、ただそういったものを含めて、どういった所からやるかというのを今後協議していく形になります。

膨張する医療費の削減を目的として浮上した、この案。

来年度の予算編成に盛り込まれた場合、風邪薬や湿布薬などOTC類似薬を使用していた患者側の経済的負担が増える可能性がある。

一方で期待されているのが、現役世代に重くのしかかる保険料の負担を減らす効果だ。

こうした動きに日本医師会が反発。

宮川常任理事:
(医療リテラシーが国際的には低い日本で)医師の診断なしに市販薬を選ぶことは、誤った薬の使用や相互作用による健康被害が広まるという危険性がある。

OTC類似薬の使用頻度が高いとみられる高齢者からは「(Q.薬局で薬を買う?)ないないない。病院から保険を使って(買う)。薬局で買ったら高いもん」「(Q.処方薬の値段が増えるかも?)しょうがない。体のためだからしょうがない。体大事。だからお金に変えられない」「(Q.OTC類似薬が見直されたら?)医者に行く回数減っちゃうよね」といった声が聞かれました。

「OTC類似薬」とは?見直しでメリット・デメリットは?

協議が進められている「OTC類似薬」保険適用除外様々な意見が聞かれたが、どうなのか。詳しく見ていく。

遠藤玲子キャスター:
例えば青井さん、「イット!」出演後にちょっと風邪気味だなと思った場合、薬、どうしますか。

青井キャスター:
病院行けないですからドラッグストアかなっていう感じですよね。

遠藤玲子キャスター:
青井さんみたいにドラッグストアで処方箋なしで薬を買うケース、その薬は「市販薬」。つまり、「OTC医薬品」になるわけなんですが、保険適用ではないので、それは全額自己負担になるわけなんです。一方で、今回議論になっているのは「OTC類似薬」名前に類似とありますが、OTC市販薬に似ている、成分・効果は、市販薬とほぼ同じで、ただ処方箋が原則必要なので、これは保険適用になる薬だということなんですね。

例えば、定価2000円の風邪薬、これがOTC類似薬の風邪薬ですと保険適用になるので、75歳以上の高齢者は、1割負担の200円に診察料と調剤料などで数百円で済むということになるわけなんですよ。

なので、先ほどの青井さんがドラッグストアで買う風邪薬に比べると、だいぶ差が出るということなるんです。

青井キャスター:
中村さん、得する人とちょっと損したなという風に思う人も出てくるということですね。

SPキャスター中村竜太郎さん:
そうですね。私の場合は、湿布を病院に行って処方してもらうので、ドラッグストアで買うとちょっと高くなっちゃいますね。

遠藤玲子キャスター:
なぜこの議論を進めているのか日本維新の会によりますと、湿布やその胃腸薬などのオーティーシー類似薬を「保険適用外」にすると年間で約3500億円の医療費の削減になるという調査も出ているということなんです。

青井キャスター:
医療費削減ですとか、ドラッグストアで薬を購入する人とのメリットはあるわけだということですね。

遠藤玲子キャスター:
一方で、いろんな意見がある中でもデメリットもあるわけなんです。

東京歯科大学の寺島教授によりますと、自己負担額が増えるので、経済的な負担がもちろん増えてしまう。自己判断で薬を買うので「これ風邪かな?」と思っていたら、実は、重大な疾患が隠れていたり診断などの遅れにつながってしまうということも考えられます。また、持病をお持ちの方、すでに服用している薬があって、併用の際の注意点に気が付かないなどで副作用や安全性がおろそかになってしまうというリスクといったデメリットも考えられるということです。

青井キャスター:
中村さん、高齢者から困惑の声聞かれてるわけですが、どうすればいいですかね。

SPキャスター中村竜太郎さん:
そうですよね。高齢者の方にとってデメリットが大きいと思うんですけど、やっぱり、これから全てお医者さんに委ねるのではなくて、病院に行く回数は減るかもしれないですけども、これをきっかけに自分の健康をより考えていく、そういうふうな時代になっていくんじゃないかなと思いますね。

6日の協議で3党の実務者は、政府が6月にまとめる「骨太の方針」にOTC類似薬の保険給付の見直しなどを反映することを確認したということだ。
(「イット!」 6月6日放送より)