マイページ
子育て世代直撃か「OTC類似薬」自公・維新が“保険外し”議論”「医療費1兆円削減」というが…患者負担だけでなく「国の医療費も増える」指摘する医師|FNNプライムオンライン

子育て世代直撃か「OTC類似薬」自公・維新が“保険外し”議論”「医療費1兆円削減」というが…患者負担だけでなく「国の医療費も増える」指摘する医師

Google ニュース プリファードソース

『OTC類似薬』という言葉を、皆さんは知っているだろうか。

イメージ
イメージ
この記事の画像(8枚)

ヘルニア持ちの筆者は、通院して湿布薬を処方してもらっている。

1袋7枚入りの「ロキソニンテープ」は、3割負担で1袋120円程。

ある時、足りなくなって薬局で「ロキソニンテープ」を購入したら1袋7枚入りで2000円近くした。

自費での購入だから、10割負担で400円ぐらいかと思っていたのだが、甘かった。

この値段の差は、病院で処方してもらう『OTC類似薬』と、処方なしで薬局で買う『OTC医薬品』との違いらしい。

OTC類似薬
OTC類似薬

■3党で協議中の「OTC類似薬の保険外し」

今、自民、公明、維新の3党が議論している「OTC類似薬の保険外し」。

実施されれば、我々が支払う薬代は大幅に増えるだろう。

それでも、維新が言うように「OTC類似薬を保険から外すことで、医療費を約1兆円削減できる」ならまだいい。

しかし「そう単純に医療費削減とはならない」と、日本医師会や日本小児科医会など医療界から懸念の声があがっているというのだ。

「野田阪神駅前いまい皮フ科小児皮フ科アレルギー科」の今井康友院長に話を聞いた。

今井康友医師
今井康友医師

■家庭の薬代は数十倍 特に子育て世代を直撃

今井康友医師:
「OTC類似薬(医師が処方する保険適用の薬)」と「OTC医薬品(処方なしで薬局等で購入できる薬)」は、成分や効能、効果は似ていますが、薬価はまったく違います。

「OTC類似薬」は国によって薬価が低く抑えられていますが、「OTC医薬品」は製薬会社が自由に価格を決められる、つまり高く設定できるのです。

例えば皮膚の炎症や湿疹などの治療に使われる「リンデロン軟膏」。

国が定めるOTC類似薬の薬価は1 本(10グラム)169円で、3割負担の場合、薬剤師の料金を加算しても1本100円前後です。

これに対し、薬局で処方なしで買うOTC医薬品のリンデロン軟膏は、1本(10グラム)2000円前後。患者さんが支払う金額は20倍です。

仮にアトピー性皮膚炎の患者が1か月に100グラム使用するとして、3割負担で1000円程度。子供の場合は、乳幼児医療費助成制度対象者なら無料~数百円程度の負担です。

それが、OTC医薬品を使用するとなると100グラムで2万円。量が必要な患者さんでは支出が大きく増えます。

OTC類似薬の主な薬には、「咳止め」や「熱さまし」、「皮膚の保湿剤」などがあります。

風邪や皮膚トラブルは、多くの子供によく起こりますから、特に小さいお子さんのいる家庭の負担は大幅に増加。まさに子育て世代の家計を直撃します。           

OTC類似薬とOTC医薬品
OTC類似薬とOTC医薬品

■「薬価」は自由競争すると価格が上がる?

Q.OTC医薬品市場が活発化すると、自由競争で価格は下がってくるのではないか?

今井康友医師:
残念ながら上がると思います。アメリカがいい例です。

アメリカは自由診療しかありません。国が価格を規制しない国がどうなっているかというと、医療費がすごく高い。

あまりに薬剤費が高額なのでトランプ大統領が薬価引き下げの大統領令に署名したくらいですよね。

「自由に決められる場合は高くなる」というのが結果として出ています。

製薬会社間で、「高い値段でいく」ことが暗黙の了解のようになってしまっているのです。

自由競争した結果、高いものができあがってしまいました。

■処方箋が高額な薬に置き換わり、医療費は増加

今井康友医師:
治療薬は一種類ではありません。

OTC類似薬の保険外しによって患者さんが負担する薬剤費(薬代)が高額になるなら、OTC類似薬以外の薬を処方する医師が増えるでしょう。

例えば、今、皮膚炎の治療に広く使われているリンデロン軟膏(ステロイド外用剤)の薬代が、月1000円から2万円になるので、OTC類似薬ではない「ブイタマークリーム(非ステロイド系薬剤)」を保険で処方したとしましょう。

薬価は3008円 /10グラムと高額ですが、3割負担なら1000円/10グラムです。薬局でOTC医薬品のリンデロン10グラムを2000円で購入するより、患者さんの負担は半分に減ります。

しかし、高額な薬を処方すると、当然、国の医療費負担も増えます。

OTC類似薬の薬価は安く、リンデロンの薬価は10グラム169円。OTCではないブイタマークリームは10グラム3008円。

高額な薬剤への置き換えが進む結果として、医療費、特に薬剤費は増加すると思います。

リンデロン軟膏(OTC類似薬)
リンデロン軟膏(OTC類似薬)

■医療控え→重症化患者増加→医療費増加のおそれ

今井康友医師:
OTC類似薬の保険外しは、患者さんの自己負担が高くなることから、医療機関への受診控えが増えることが予想されます。

医療控えの結果、病気の発見が遅れて重症化患者が増え、結果、医療費は増加する。ただの風邪かと思ったらヒトメタニューモウィルスで肺炎になって入院、ということも起こり得るのです。

また、「病院へ行っても、結局、薬局で薬を買ってねとなるなら、最初から薬局へ行こう」という人も増えます。

しかし、自己判断は危険です。

大阪府保険医協会が会員に対して行った調査によると、回答した医療機関の4割が「これまで市販薬(OTC医薬品など)を服用し、副作用が出たり重症化したりして来院した患者がいる」と答えています。

「ロキソニンを自己判断で倍量服用し、急性腎不全になった」「総合かぜ薬で喘息発作を起こした」など、自己判断による誤った薬の使用は健康被害の拡大につながり、医療費も増加するのです。

イメージ
イメージ

■国民の健康を「安価に」守るのが医師の仕事

今井康友医師:
OTC類似薬の保険外しは、持病がある子供だけでなく、健康な子供の家庭も直撃します。

「これだけせきが酷いと薬が要りますね。処方箋出しますね」から、「せきが酷いから薬局で咳止めを買ってね」に変わるわけですが、これまで500円だった薬代が3000円、4000円と何倍にもなるのです。

僕たち普通の保険診療の医者は、普通に治療に来た患者さんを、可能な限り安い値段のお薬で、フルファイト(可能な限りの治療)したいんです。

OTC類似薬の保険外しは、僕たちが率先して処方したい「値段の安い薬」を狙い撃ちして保険で使えなくする政策です。

みなさんの健康を守るためにも、保険診療をしっかりやっていけるよう、これからも実績のある安価な薬を使わせて欲しいと強く願います。

(今井康友医師)

イメージ
イメージ

(関西テレビ 2025年5月17日)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。

  • 1
  • 2
関連記事
関西テレビの他の記事
「ごみ焼却場をなくしてキノコを」 小学生が考える“住みつづけられる未来の大阪” 柔軟なアイデア競い最優秀グループは全国会議へ 大阪市
「ごみ焼却場をなくしてキノコを」 小学生が考える“住みつづけられる未来の大阪” 柔軟なアイデア競い最優秀グループは全国会議へ 大阪市
社会
【速報】「私が自宅の毛布に火をつけた」76歳男が交番に自首 消防車52台が出動 集合住宅の火災で逮捕 大阪・東淀川区
【速報】「私が自宅の毛布に火をつけた」76歳男が交番に自首 消防車52台が出動 集合住宅の火災で逮捕 大阪・東淀川区
社会
1971年に国内で絶滅…コウノトリが全国で700羽超まで復活 繁殖も順調 新潟では「5つ子」が巣立ち 2年後には1000羽超の見通し
1971年に国内で絶滅…コウノトリが全国で700羽超まで復活 繁殖も順調 新潟では「5つ子」が巣立ち 2年後には1000羽超の見通し
社会
【速報】「1トン爆弾」の起爆装置を無事に除去 住民約2400人に避難を求める 阪急・箕面駅も一時的に閉鎖 住民は「よく今まで何もなかったなと思う…」 大阪・箕面市
【速報】「1トン爆弾」の起爆装置を無事に除去 住民約2400人に避難を求める 阪急・箕面駅も一時的に閉鎖 住民は「よく今まで何もなかったなと思う…」 大阪・箕面市
社会
一覧ページへ
×