学校のプール授業が始まる季節となった。しかし、最近の子どもたちの水泳事情は昔と大きく変わってきているようだ。昭和世代の常識だった「洗眼器」や「腰洗い槽」はいずこへ?また令和時代のプール授業にも変化がみられる。
半数が泳げない?
福島県福島市のスイミングスクール「ピュアスポーツ」の常務・藤井洋治郎さんによると、指導した小学5~6年生の約半数が25メートル泳げないという。「泳げる子・泳げない子が二極化している」と藤井さんは指摘する。

この背景には、いくつかの要因がある。
1. コロナ禍の影響:現在の高学年の子どもたちは、低学年時にコロナ禍で水泳ができなかった。
2. 熱中症リスクの増加:温暖化の影響で、熱中症リスクが高まり、授業ができない日が増えている。
3. プール授業への参加率低下:日焼けや肌の露出を嫌がり、プールに入らない子どもが増えている。
変わりゆくプール授業の様子
プール授業の形態も変化している。福島テレビのXに寄せられた県民の声によると、以下のような変化が見られる。

- 学校のプールではなく、バスで水泳教室に通う。
- 学校指定の水着がなくなり、各自で好きな水着を着用(ただし華美なものは不可)。
- 夏休みのプール開放がなくなり、子どもたちが入れるのは夏休み前の短い期間のみ。
昔ながらの設備も姿を消す
かつてプールサイドにあった設備も、今では見かけなくなった。
- 洗眼器:日本眼科学会が「数秒以上の水道水による洗眼は、目を保護する粘液を洗い流してしまうので推奨できない」と発表したため。

- 腰洗い槽:95%の学校プールに循環ろ過装置が備え付けられ、文部科学省が平成13年に設置に関する記述を削除したため。
泳げないことの危険性
藤井さんは「泳げないまま大人になれば、水の事故から自分の命を守ることができない」と懸念を示す。この状況を改善するため、福島市内のピュアスポーツでは、小学5~6年生を対象に25メートル完泳できるまで会費を無料にする取り組みを行っている。
プール授業を取り巻く環境は大きく変化している。子どもたちの安全と健康を守りつつ、水泳技能を身につけさせることが大切だ。

この記事は、福島テレビで平日夕方に放送している報道番組「テレポートプラス」内の天気コーナー「福テレ空ネット」を基に作成しました。
(福島テレビ)