熊本市電、そして市電を運行する市交通局の全てを立て直すプロジェクトがスタートし、6月『市電再生タスク・フォース』が設置されました。『タスク・フォース』とは緊急性の高い問題について解決に当たる集団を言います。

交通局は原則、市電の運賃収入などで経営する独立採算の『企業局』ですが、新たに設置されたタスク・フォースには『市長事務部局』、つまり市役所本庁からの職員が5人、投入されています。

【尾谷いずみ アナウンサーリポート】
「市長事務部局からの5人は先月までの職務との併任ということですが、今月から交通局に身を置き任務に当たります」

熊本市電は去年、脱線や信号無視など16件の運行トラブル。そして今年3月には市電同士の追突事故が起き乗客など15人が重軽傷を負ったほか、今月にはレールの一部が剥がれ区間運休というこれまでになかったトラブルも発生しています。

『市電再生タスク・フォース』に任命されたのは16人。うち5人が市長事務部局からの職員です。

【5月30日会見 大西 一史  熊本市長】
「市電101年の歴史の中で文化があると思う。風土というか。それは市長部局から見ると『それは違うんじゃないか』とか組織の中で〈当たり前〉と思っていた文化を変えていく。一つ一つの気づきを与えることになっていくと思う」

タスク・フォースは状況を随時、大西市長へ報告する体制としていて市長も積極的に関与していく方針です。

4日は、交通局の経営会議でタスク・フォースのリーダー太江田 真宏さんが挨拶しました。

【交通局経営会議にてタスク・フォースのリーダー 太江田 真宏さん】
「〈新しい交通局に生まれ変わるんだ〉という強い覚悟と使命感を持ってさまざまな課題に対してスピード感を持ちながらも一つ一つ丁寧に対応していきたいと思っているので、皆さん、一緒に協力して交通局の立て直しに向けて取り組んでいきましょう。よろしくお願いします」

太江田さんは『市電延伸室』の室長でもあります。

市電延伸は去年9月に実施設計予算が議決され、太江田さんらは市民説明会を開くなどし、今年度は測量などを予定していました。

しかし市電の運行トラブルは止まらず、大西市長が「安全対策を優先する」として
延伸の延期を決断。

市電延伸事業は事実上ストップしていました。

新たに発足した『市電再生タスク・フォース』は運転士の処遇改善など『人事』や
『組織体制』の改善策。

そしてレールや電気設備、車両への安全対策にかかる費用の算出など『施設整備』や『経営』についても情報収集や分析を行います。

【タスク・フォースのリーダー 太江田 真宏さん】
「熊本市だけでなく熊本都市圏の基幹交通として重要な役割を担っている市電ですので、一日も早く皆さんが安心して使えるような環境を構築していければと思っています」

『市電再生タスク・フォース』は、年内をめどに解決策をまとめます。

市電延伸への事業に携わってきたある意味、市電をよく知る職員がタスク・フォースの中心に配置されたということですね。

テレビ熊本
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