5月21日に農水大臣に就任した小泉氏だが、そのわずか5日後、5月26日には備蓄米の随意契約を決定し、大手小売業者の受付をスタートさせた。

さらにその5日後には、備蓄米が店頭に並んだ。「6月の上旬も無理じゃないか」と言われていたのが、5月31日にできたということだ。

■橋下氏が野党を痛烈批判「しょうもない質問ばかり」
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した橋下徹さんは、小泉農水相のスピード感について評価し、一方の野党の姿勢を批判した。
橋下徹さん:これはもう評価しないといけないでしょう。色んな問題点あるにしても、この政治の実行力は、すごいことですよ。野党はそれを素直に評価できないから、国会でしょうもないことばっかり質問するわけです。意味のないようなね。
橋下徹さん:ここはしっかり評価した上で、『だけどここはこういう風にした方がいいんじゃないの?』と提案をするのが野党の役割なのに、随意契約なんて野党の国会議員やったことないもんだから、何が問題点なのか、どこを改善したらいいのか分かんないから、もうしょうもない適正価格だとか、うにゃうにゃ言って、国会ってしょうもないなと思いますよね。

■「古い自民党をぶっ壊して」古市氏が期待する小泉農水相の改革
社会学者の古市さんは「古い自民党をぶっ壊してほしい」と話した。
古市憲寿さん:本当に古い自民党をぶっ壊してほしいなあと思いますよね。だって自民党がわざわざ補助金を出したりとか、減反させてまで、お米の価値を高く上げてきたわけだから、これを小泉さんきっかけに、その古い自民党の体質をガラッと変えてくれるチャンスになればいいですよね。
古市憲寿さん:(小泉農水相の)お父さんの姿を見ているというか、やっぱりまだ自民党の中でも揺れてますよね。若い議員が革新派というわけでもなくて、若い議員の中にも『生産者のこと守んなきゃいけない』とか言って、結局、消費者じゃなくてて生産者を向いている議員たくさんいるんで、小泉さんの人気でそこはうまく改革していければね。
橋下徹さん:野党もみんなうにゃうにゃ言っているわけです。最後、輸入に踏み切るかどうかだから。『食料安全保障をきちんと確立しなきゃいけない』と言っておきながら、食糧安全保障がどんどん弱ってきたのが、今までの自民党の政治のやり方で、それはもうただ1点、輸入っていうものを認めるかどうかに通じるんですよ。

■小泉農水相活躍の裏に“敏腕秘書”
小泉農水大臣のここまでのアピール力の裏には、“敏腕秘書”の存在があったという。
政治ジャーナリストの青山和弘さんによると、
・元大手商社に勤務をされていた方で、小泉大臣が絶対的な信頼を置いている
・小泉大臣のスケジュールとメディア露出(テレビの映り方)を徹底的に管理
・すごく頭が切れる方
古市さんはこの“敏腕秘書”と知り合いだという。
古市憲寿さん:“敏腕秘書”と仲いいですけど。普通に仕事ができる方で、政治家の秘書って変わった人とか、政治の世界しか知らない人もたくさんいるんですけど、この方はちゃんと一般企業の経験があって、一般常識もあって、本当普通に仕事ができるんですよ。すごく圧が強いとかでもなくて、人当たりは柔らかいんですけど、ちゃんと仕事をこなしてくれて、連絡もすごい速くて。
(Q.出演する番組なども秘書が決めている?)
古市憲寿さん:そこはチーム戦というか、もちろんこの秘書の方も決めるし、本人(小泉農水相)も決めるし、あともう一人口うるさい人もいて、色んな人の声を聞きながら本人が判断しているのが実際のイメージに近いです。

■「普通の仕事できない人ばかり」橋下氏・古市氏が暴露する国会議員の実態
青木源太キャスター:メディア戦略を考えるときに、政治家の人が誰かの助言を元にやっていくことはよくあるのですか?
橋下徹さん:メディア戦略で、助言に従うと大体みんな失敗しますよ。というのはメディアのことを知らない人が周りで秘書とかやっちゃっているから。国会議員の秘書とか。国会議員って失言多いのは、そういうことじゃないですか。
橋下徹さん:この方(秘書)は、普通の会社で働いているから、そういう感覚があるわけですよ。秘書だけじゃなくて議員ね。誰とは言いませんけども、一般の事務とか、一般の普通の仕事できないメンバーが、みんな議員になっているわけだから。そこに集まってる秘書も、『議員になりたい』といって普通の事務処理とか全くできない。だからみんなで4時間しゃべっても、ペーパー1枚にまとめることができないようなメンバーなんです。
古市憲寿さん:本当に議員秘書のレベル低いんです。本当に普通の仕事できない人ばっかりが集まってますから。
橋下徹さん:普通の企業では無理。だけどやっぱり国会議員議員、“あの世界”では“ああいう人材”じゃないとダメ。偉そうにしたりとか。レベルが低いかどうかじゃなく、その世界がある。要は『一般の企業では無理だよな』っていう人がみんな集まっていることが多い。

■「先着順は絶対NG」橋下氏が指摘する小泉農相の死角
橋下さんは小泉大臣に「ここは直して」というポイントがあると言う。
橋下徹さん:随意契約をやれば必ず問題点いくつかあるんです。1つは、先着順で絶対やっちゃいけない。先着順じゃなくて、抽選でやらなきゃいけないんですよ。受付を募った上で、一括でドンって抽選しなきゃいけない。これは保育所の入所問題なんかでも、先着順でやると不公平になるし、それからみんな並ばなきゃいけないとか、サーバーがダウンするとか、とにかく非効率になるんです。
(Q.スピーディーにできたから結果的にうまくいっているのでは?)
橋下徹さん:だから先着順で、それに参加できない業者さんいっぱい出てますからね。小さいお米屋さんなんか打ち切られてしまって、参加できなかったりとか。だから条件を設定する時の1つは、先着順はやっちゃいけない。
橋下徹さん:条件設定はマーケットサウンディングといって、色々な話を聞いて、大体多くの人が、『これぐらいの人たちが参加できるような条件ってどれぐらいなのか』探る。マーケットサウンディング、ブックビルディングというんです。これも時間は必要なんだけども、本来やらなきゃいけない。でも小泉さん今回スピード重視したから、全部すっ飛ばしてっていった。今後ちょっと課題を考えてもらいたい。

■浮き彫りになった備蓄米販売の“地域格差”
また備蓄米を「買える機会」で地域格差が生まれているという。随意契約を申請した小売業者の出店状況で、多い所は東京都がおよそ2200店舗に対して、少ない所は鳥取県のおよそ60店舗となっている。
青木源太キャスター:スピード重視したから、ちょっと格差は出たということ?
橋下徹さん:スピードと公平性はトレードオフ。どっちかを取ればどっちかが犠牲になるということだから、これ本当、小泉さんを責めるということじゃなくて、バランスの取り方なんです。(Q.ここまでスピード重視したことはいいのか?)オッケー!ここから修正するとか。
橋下徹さん:それから小売店の方で高く買った“江藤米”の問題。日曜日の番組で議論になったんです。小泉さんじゃない、自民党の斎藤議員とそういう議論になったら、すぐ斎藤さんが『それは言うよ』と。1回買い戻しをして、それから随意契約でもう1回安く売るっていうことを、『それはやるよ』と言ったら、あっという間にこれまた取り入れてやるとか。
青木源太キャスター:でも買い戻しするんだったら、その業者を公表したり、次に入札できないとかにしないといけないのでは。市場に流せなかった人たちってことじゃないですか?
橋下徹さん:ただ流せないのには、やっぱり色んな理由があったから、ここも物流変えていかなきゃいけないと思うんです。これは今までの閉鎖された世界の物流なので、そこに参加される業者が限られていたんですよ。でもそこに楽天・三木谷さんを呼んで、色んな直接の物流、直接販売できるような仕組みを取り入れたのもすごいと思います。

■古市氏が指摘する「自給率100%」の落とし穴
(Q.有事の米の心配は?)
橋下徹さん:そこを輸入でやるしかないんだけども、小泉さんそこら辺はミニマムアクセス米と言って、非関税で入ってくるお米を使うという、ちょっと“輸入”の言葉も言い始めているので、輸入に道開くのか。
(Q.輸入すると生産者から反対は?)
橋下徹さん:ものすごくあります。価格が安くなってしまう。でもそこは農家の皆さんにも、コスト削減に一生懸命頑張ってもらうとか、生産性を上げてもらうということをやりながら、どうしてもだめだったら支援策が必要。一定やっぱり農家の皆さんに頑張ってもらわなきゃいけないよね。
古市憲寿さん:ほんとの安全保障って、自給率をがむしゃらに高めることじゃなくて、色んなルートを持つことだと思うんです。食料自給率、例えば100パーセントだった江戸時代って飢饉がたくさん起こっていた。輸入ができないこと自体もリスクになる。
古市憲寿さん:日本でも作ります、海外からも輸入しますということが、本当は安全保障について必要だと思うんです。過剰に高い関税かけちゃって、海外からのお米をほとんどストップしてる状態なのはやっぱりおかしくて、関税を下げて日本のお米もあります、海外のお米あります、それを消費者が選びますって方が、本来はマーケットとしても健全。

■「支持基盤は農家」野党も語れない“輸入解禁”の本音
橋下徹さん:食料安全保障、本当に政治家がごまかしているんですけども、量を少なくして、全部自給率100パーセントというと、今回のようにちょっと量が崩れたら、みんな大混乱する。
橋下徹さん:古市さんが言っているように、また不作になったら量が縮小しているもんだから、『足りない足りない』ってなるわけでしょ。米以外みんな日本の食糧に限らずエネルギーだってなんだって全部輸入ルートがあるから日本の国が成り立っているんです。輸入をするっていうのが一番の安全保障になっているのに、与野党含めて、野党も言わない。
(Q.なんでですか?)
橋下徹さん:野党もみんな支持基盤が農家さんなんですよ。だからこれは日曜日の番組で、(国民民主党の)玉木さんも絶対輸入は言わなかった。香川の方で農家さんが地盤だし、それから今回、立憲民主党でかなり厳しく米価格を高くすべきだって言っているのも、やっぱり農家さん対策。
古市憲寿さん:(小泉さんは)圧倒的人気があるから、別に地元の有権者をこえた、国を考えた政策ができる。
橋下徹さん:本当に国のことを考えるんだったら、輸入がないなんて、島国日本で、こんな恐ろしいことないですよ。

■「3000円台のブレンド米を」 橋下氏が説く持続可能な価格対策
(Q.選挙が終われば話は進む?)
橋下徹さん:輸入は言わないと思う。与野党含めて誰も言わないから、これ言い切ってくれるような政治家に出てきてほしい。あと、価格についてだって、備蓄米だけ安く放出してますけれども、本当は備蓄米だけじゃなくて、ブレンドして安い米を3000円台ぐらいのを広げていかなきゃいけないから、小泉さんこれ考えなきゃいけないと思う。いま備蓄米だけを2000円でどんどん放出しているけど、あっという間に売り切れになってしまう。
青木源太キャスター:価格高騰しているから2000円台を出して、まず平均価格を下げるという戦略なんじゃないですか?
橋下徹さん:それは今、二極化している。ものが少ないもんだから、高い米を買う人と、安い米を買う人が二極化すれば、もう備蓄米を買わない人は買わないで、銘柄米買うから。だから銘柄米下がらないんですよ。ブレンド米にして、その間をとっていかないといけない。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年6月4日放送)