熊本県の沿岸で深刻な漁業被害をもたらしている有害な赤潮プランクトンの発生を抑制するための試験が始まっています。
5月29日は、天草市で赤潮抑制に向けた試験の様子が報道陣に公開されました。

【熊本県水産研究センター 宮本 政秀 次長】
「非常に魚類養殖業の不安定な状況が続いている。一刻も早く赤潮対策をきちんとやっていかなければならないという状況」

熊本県の沿岸では2021年以降、毎年、赤潮が発生。去年までの4年間の漁業被害は合わせて50億円余りとなっています。

こうした中、県は今年4月、赤潮対策に特化した専門のプロジェクトチームを立ち上げ、研究を進めています。

5月29日は天草市の楠浦湾に隣接するクルマエビの養殖場で、赤潮対策の技術を開発するための試験の様子が公開されました。

養殖用の池では有害な赤潮プランクトンと同じように海の栄養分をエサとする珪藻類のプランクトンを増殖させていて、この日は、池の水約4000トンが海に試験的に放出されました。

珪藻類のプランクトンは非常に増殖のスピードが速いのが特徴。珪藻類に海の栄養分を消費させることで、有害なプランクトンの発生を抑え、〈赤潮化〉を防ぐ狙いがあります。

珪藻類は魚のエサにもなり、害はないということです。県水産研究センターは8月中旬まで珪藻類のプランクトンの海への放出と水質調査を繰り返し、その結果を取りまとめ、効果を検証するとしています。

【熊本県水産研究センター 宮本 政秀 次長】
「まずは効果が出たものについては速やかに現場に展開していきたい。魚類養殖が安定して生産できるために貢献できるようスピード感を持って取り組みを進めていきたい」

テレビ熊本
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