e-Taxを使い税務署から還付金を騙し取った疑いで、主犯格の男を含む10人が逮捕された。グループは闇バイトにネット銀行の口座を作らせ、虚偽の開業届と確定申告で資金を引き出す手口だった。数百人が詐欺に関わり、被害額は数億円にのぼるとみられている。FNNは、詐欺とは知らずに事件に関わってしまった人物に話を聞いた。

「5万円キャッシュバック」で闇バイトに加担

インターネットで確定申告ができるe-Taxを使って、全国の税務署から還付金を騙しとった疑いで主犯格とみられる小笠原惇容疑者(40)ら10人が逮捕された。

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FNNは、詐欺とは知らずに事件に関わってしまった人物に話を聞いた。

男性(40代):
口座情報をいっぱい送って、どれがどれか分からない。

証言から浮かび上がってきたのは、犯罪グループが闇バイトで作らせたネットバンク口座を乗っ取る手口だった。

発端は2024年9月に、高知在住の40代男性に届いた「5万円キャッシュバック」をうたう仕事案内のメールだった。

男性(40代):
金がなかった。借金ができて債務整理中。これだったらできるかなと思った。

男性はメールにあった「ジョイントライフ」という会社を騙る担当者に返信した。

男性(40代):
こういうふうに口座を作ってくれとあって、口座貸しは向こうも悪い仕事だと分かっているが、こっちはお金を払わない。(口座を)使わないと思って、口座を貸して渡した。

そもそも「口座貸し」は、違法行為。男性は複数の銀行でネット口座を開設し、口座情報を担当者に伝えたという。その後、さらに指示を受け、税務署に実態のない事業の開業届を提出した。確定申告に必要なIDとパスワードを取得し、担当者に送ったという。

作った口座が還付金詐欺に使用される

すると、2025年1月末、ネットバンクの口座に約94万円の振り込みがあったという。

男性(40代):
90万円は何のお金か分からない、税務署から。(担当者に)「引き出さんとって」と言われ「入り用があるから払わないといけないお金」と。

すると2日後、知らない口座に94万円が移され、残高は3000円に減っていた。担当者とは3月を最後に連絡が取れなくなり、男性は作った口座が還付金詐欺に使われていたことには気が付かなかったという。

FNNの取材によると、数百人が詐欺に関わり、被害額は数億円にのぼるとみられている。
(「イット!」5月29日放送より)

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