不満が続出する愛媛県のコメ価格高騰
買い物客：
「高すぎて困っとるがな。」
「これ異常じゃわい。」
「元の値段に戻ってくれるなら、それ以上ありがたいことはないですね。」
愛媛県民からも不満が続出するコメの価格高騰。
５月１９日に発表されたスーパーの平均小売価格は、５キロで４２６８円。２０２４年と比べて実に２倍だ。
３月から政府による備蓄米の放出が始まったが、コメの価格は一向に下がる気配を見せず、私たちの家計を直撃している。
「あまりにも異常かなと思います」
買い物客：
「物価そのものが上がってますので、コメもある程度上がっても仕方がないのかなと思ってますけども、ひと頃と比べて倍以上ですんで、それはちょっと異常かなというふうに、あまりにも異常かなと思いますね。」
買い物客：
「１カ月で３０キロぐらいは食べます。高校生、みんな野球してるので、量はすごいと思います。私が仕事を増やして、稼ぎを増やすというところで対策してます。」
品薄による供給不安も深刻
消費者が価格の高騰に頭を悩ます一方で、店の棚にコメがほとんど並んでないことも多く、品薄による供給不安も深刻。
スーパー日東食品担当・宝蔵恵太良さん：
「人気の商品であれば、入荷したその日か翌日には売り切れてしまいますね。ここまでお米が高くなって品薄になるとは思ってなかったので、本当にびっくりしてます。今やっぱりどこも新規で取引してもらうのはなかなか難しいので、お米自体がないのでなるべく一軒でも多く声をかけて、入荷してくれるところを探しているような感じですね。」
少しでも多くの米が消費者に届くよう試行錯誤中
このスーパーでは新たな仕入れ先を確保するなど、少しでも多くの米が消費者に届くよう試行錯誤を続けている。
スーパー日東食品担当・宝蔵恵太良さん：
「国内産がなかなか入ってこないっていうのもあったので、今まで取り扱いしていなかったんですけど、海外のお米も販売するようにしました。」
品薄対策として５月から台湾産のコメの販売を開始。国産と同じジャポニカ米で値段も国産より手頃とあって、売れ行きも好調だという。ただ、全体的に量が少なく、品薄状態を解消するまでには至っていない。
スーパー日東食品担当・宝蔵恵太良さん：
「体感としては（入荷量は例年の）６割から７割ぐらいかなっていう感じですね。５月に入ってからも値上げの案内があったぐらいなので、この先もちょっと上がり続けるのかなぁっていうのもありますし、備蓄米の出回り方によって価格が下がるのか、現状維持になるのか、本当に予想できないというのが私の意見ですね。」
高値と品薄はいつまで続く？
高値と品薄は一体いつまで続くのかー。先が見通せない中、県内ではコメづくりが始まっている。
コメ農家・近藤将人さん：
「値段的に消費者の方は大変だろうと思いますけども、まあ作ってる側としては苦労が形になって出てるのかなって感じはしますけど。」
東温市で会社員をしながら、夫婦でコメ作りをしている近藤さん。６５００平方メートルの田んぼで約２．４トンのコメを生産している。
できたコメの半分ほどを家族や親戚で消費し、残りをＪＡに出荷してきた。
小規模なコメ農家にとって利益は出すことはできなかった
近藤さんのように小規模なコメ農家にとって、これまで利益を出すことはできなかったという。
コメ農家・香さん：
「去年までがある程度まだ低いなと思いながら、今年は少し上がったようなので噂で聞くところによると、それでまだ普通かな…普通というかまだ赤（字）にならないよねっていう人件費までは出ません。ほとんどみなさんそうだと思います。だから上がってくれればうれしいけれども、やっぱり上がると皆さんに高いお米どうだろうという気持ちもあります。」
農家にとっても収入アップにつながるため歓迎すべきことだが…
コメの価格高騰は、農家にとっても収入アップにつながるため、歓迎すべきことだが、その心情は少し複雑だ。
コメ農家・香さん：
「祖母の代から上は減反減反と言われて、いま皆さん後継ぎさんが継がない、継がないってなってしまっているので、今お米がないから増やしてほしいと、もし国から言われてもすぐにはそういうことにはならないと思います。」
コメ農家・近藤将人さん：
「うちは子供が全部娘で県外に嫁いでいってるので、もう僕の代で終わりかなと。この高騰で少しでも儲けが出るのであれば、それに興味を持ってもらえて誰か始めてくれればいいかなと思います。」
価格高騰で見えてきた日本の食を支えるコメの現状。日本の主食を守るため抜本的な対策がいま求められている。
