都が新型コロナ“チャットボット”を開設

シルバーウイークの4連休は、全国の観光地で昨年並みの人出が戻ったところもあり、10月からは、東京都が政府の観光支援事業「GoToトラベル」の対象になり、今後は“コロナ禍”の中で日常生活をおくることがますます当たり前になりそうだ。

ところで、皆さんは新型コロナウイルスに関する情報について、いざという時の問い合わせ先などは把握しているだろうか?

問合せ先を忘れている人や電話が面倒な人にぴったりなサービスを東京都が始めたのだ。

出典:東京都
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16日からスタートしたのは、新型コロナウイルスの問い合わせに対応する「東京都新型コロナチャットボットサービス」

都庁公式サイトをはじめ、「東京都新型コロナウイルス感染症支援情報ナビ」「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」「東京都防災ホームページ」などにアクセスすると、トップページの右下に「ご質問にチャットボットがお答えします」と書かれたマークが表示される。

これをクリックするとチャット用の別ウインドウが開き、次のような新型コロナウイルス感染症対策に関する情報を提供するという。

(1) 新型コロナウイルス感染症対策に関する東京都の相談窓口の案内
(2) 新型コロナウイルス感染症対策に関する東京都のホームページの案内
(3) 相談窓口に寄せられるよくあるお問い合わせへの回答

 

なお起動直後のチャットボットには4つの選択肢があり、「1.相談窓口」をクリックすると、個人向け・事業者向けなどと分類して、それぞれの窓口へのリンクを表示。例えば個人向けの相談窓口では、「新型コロナ感染症の予防・検査、感染防止対策等の相談窓口」や「就業・労働についての相談窓口」などを選択できる。

「2.支援情報」は「東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ」へのリンク。

「3.都内の感染状況・取組最新情報」では「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」または「東京都防災ホームページ」のリンクを案内。

「4.よくあるお問合せ等」では、チャットボットの質問に対する回答を選んでいくことで、最終的にはリンクや情報が提示される。
 

文章入力した質問にもAIで対応…実際に試してみた

またテキストボックスに質問などを入力すると、AIによる自然言語分析技術によって適切な案内を行うという。

実際に使ってみると、例えば「発熱がある」と入力すると受診相談窓口が案内された。一方「熱が下がらない」では通じないようで、言い換えるように促されることもあった。
 

続いて、「新型コロナウイルスが怖い」と入力してみると、「新型コロナウイルスは動物から感染しますか」「職場で取り組むべき新型コロナウイルス対策にはどのようなことがありますか」など質問の意図を予測した選択肢が並ぶ。

合致するものがあれば選択、また「この中にはない」という選択肢も含まれているので、意図と違う場合は改めて質問を入力するという流れだ。
 

「新型コロナウイルスが怖い」と入力すると…
「新型コロナウイルスが怖い」と入力すると…

近ごろはこのようなチャットボットが様々なところで使われているが、どれだけ利用者がいるのか? そもそもなぜチャットボットを設置したのだろうか?

東京都の担当者に聞いてみた。
 

情報を一元的に案内する狙いで開設

――なぜチャットボットを導入した?

私ども東京都の場合、春ごろから新型コロナウイルスに関して、各局・各組織で多様な情報提供を実施してきました。その結果、どこに何の情報があるのか若干分かりにくい状況になっている一面も出てきました。

そこで、双方向の会話ができるチャットボットを使って情報を一元的に案内しようと考えてリリースに至りました。ホームページなどより少ないクリック数で必要な情報をお届けすることが狙いです。


――チャットボットの特徴は?

最近流行りのディープラーニングではなく、ある意味オーソドックスで熟成された技術を使っています。AIで処理しているのは、表記のゆれ…似たような言葉を正しく理解して、どんなことを聞いているのか判別する部分です。

チャットボットとしては先進的なものではありませんが、これから様々なお問い合わせなどを学習して適切な回答を抽出できるようにしていきたいと思います。


――徐々に回答の精度が高くなる?

精度に関しては、最終的に我々の方でチューニングを加えるという人力の部分が必要になるので、できるだけ頑張りたいですね。

(画像はイメージ)
(画像はイメージ)

開始3日間で約1万件のアクセス

――チャットボットの利用数は? 職員はどれだけ楽になった?

チャットへのアクセス数は16日のサービス開始から平日3日間で9474件です。会話が成立して「吹き出し」が表示された数は、利用1回あたり平均6回となっています。事前にアクセス数を予想していたわけではないのですが、肌感覚としては意外と多いかなと思います。

チャットボット導入前の問い合わせについては、正確な数字が各局のコールセンターなどにあるためすぐお答えはできず、またチャットボットに関する詳しい分析もこれからという段階です。


――ちなみに新型コロナ以外で、東京都のすべての質問に答えるチャットボットは作らないの?

今回は、社会の興味が集中している新型コロナウイルスの情報を一元的に案内するチャットボットをリリースすることになりましたが、私たちとしては当然もっと幅広い情報を都民の皆様にお届けしたいと考えています。


――最後に、4連休が終わって人出が戻りつつある東京の人々にメッセージを

知りたいことがあればチャットボットを活用して調べていただきたいです。

その上で、たどり着けない情報があったり、分からないことがあった場合は、各コールセンターでもご案内していますのでご活用ください。

いろいろな方々にチャットボットを活用していただいて結果を反映し、皆様が求めている答えに近づけるようにしていきたいというのが我々の考えでございます。ですので、皆さまどうかチャットボットを可愛がってあげてください

 

3日間で約1万件のアクセス数の中には、「試しに見てみた」というものも含まれているだろうが、それでもこれが電話だったら大変な人手がかかったはず。
withコロナの時代に必要な情報の入手手段が便利になるような取り組みは是非進めてほしい。
 

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プライムオンライン編集部
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