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プレスリリース配信元:株式会社帝国データバンク

2025年度の設備投資に関する企業の意識調査




株式会社帝国データバンクは、全国2万6,590社を対象に「設備投資」に関するアンケート調査を実施した。なお、設備投資に関する調査は2017年4月以降、毎年4月に実施、今回で9回目

SUMMARY
2025年度に設備投資計画が『ある』企業の割合は前年比1.3ポイント減の57.4%となり、2年連続で低下した。予定している設備投資の内容は「設備の代替」が6割で最も多く、「既存設備の維持・補修」が3割台で続いた。主な資金調達方法は「自己資金」が5割超で最も高く、金融機関からの借り入れは3割だった。他方、設備投資を「予定していない」企業は前年比1.3ポイント増の34.4%に達し、その半数近くが「先行きが見通せない」ことを理由にしている。

調査期間:2025年4月16日~4月30日(インターネット調査)
調査対象:全国2万6,590社、有効回答企業数は1万735社

企業の57.4%で設備投資の計画が『ある』、1.3ptダウン 2年連続で前年を下回る

2025年度(2025年4月~2026年3月)に設備投資を実施する予定(計画)があるか尋ねたところ、設備投資計画が『ある』(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)と回答した企業は前年(2024年度の設備投資計画、2024年4月に実施)から1.3ポイント減の57.4%となり、2年連続で低下した。



他方、設備投資を「予定していない」企業は34.4%で、前年から1.3ポイント上昇した。
2025年度に設備投資の予定(計画)が『ある』企業では、設備投資予定額は平均で1億2,429万円[1]となり、前年(1億2,705万円)から276万円減少した。



設備投資の予定(計画)が『ある』企業の割合を規模別にみると、「大企業」は70.6%と7割台を維持した一方で、「中小企業」は55.0%、うち「小規模企業」は44.6%となっており、規模が小さくなるほどその割合が小さい傾向が続いている。

設備投資の予定(計画)が『ある』企業からは、「人材不足を補うために、勤怠管理や業務日報のデジタル化を進めている。また、システム導入による作業の標準化で属人化を防ぎ、効率化と品質維持の両立を目指している」(メンテナンス・警備・検査)といったコメントがあがった。
他方で、設備投資を「予定していない」企業からは、「今後の見通しが立てづらい状況では零細企業にとって設備投資は行えるものではない。一歩間違えれば倒産につながる」(建設)といった厳しい声のほか、「2024年度に業務用PCやサーバーなどの入れ替えを行ったため、今年度は投資する予定はない」(機械・器具卸売)などの声が寄せられた。

「設備の代替」が60.8%で突出 大企業の半数近くが「デジタル投資」を計画

2025年度に設備投資の予定(計画)が『ある』企業に対し、予定している設備投資の内容について尋ねたところ、入れ替えや交換、更新など「設備の代替」が60.8%と、調査を開始した2017年度以降初めて60%を上回り、トップとなった(複数回答、以下同)。



次いで、「既存設備の維持・補修」(30.7%)や省人化なども含む「省力化・合理化」(25.8%)、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」(20.9%)、AIなど「情報化(IT化)関連」(20.3%)が続いた。なお、「DX」「情報化(IT化)関連」のいずれかを選択した、『デジタル投資』を検討している企業は32.8%となった。なかでも「大企業」における割合は48.1%と半数近くにのぼり、「中小企業」(29.4%)を18.7ポイント上回った。資金余力が比較的乏しい中小企業においては、「設備投資は継続かつ積極的に行っていきたいが、PCやソフトウェアなどすべてにおいて価格改定があるので中小企業には難しい一面もある」(専門サービス)など、設備の価格上昇が投資の足かせとなっている様子がうかがえた。

主な資金調達方法、「自己資金」が57.6%でトップ、金融機関からの借り入れが3割で続く

2025年度に設備投資の予定(計画)が『ある』企業に対して、主な資金調達方法を尋ねたところ、「自己資金」が57.6%で最も高かった。他方、金融機関からの「長期の借り入れ」(22.3%)や「短期の借り入れ」(6.7%)といった、金融機関からの調達は29.0%と3割を切る結果となった。



また、「補助金・助成金」は5.5%とわずかであるが、「中小企業」は6.4%、うち「小規模企業」は8.5%と、規模の小さな企業での活用が目立った。しかし、企業からは「地方の中小企業においては、補助金ありきの設備投資となっている。最近は補助率が低下していて、自己資金の負担が大きいため、どうしても消極的にならざるを得ない」(機械製造)といった補助率や対象範囲について厳しい声が複数寄せられた。

設備投資を行わない理由、「先行きが見通せない」が47.9%でトップ 特に中小企業で今後への不安の声多く

2025年度に設備投資を「予定していない」企業に対して、設備投資を行わない理由を尋ねたところ、「先行きが見通せない」が47.9%で最も高く、前年からの上昇幅(+3.8ポイント)が最も大きい項目となった(複数回答、以下同)。
以下、「現状で設備は適正水準である」(25.2%)が2割台、「投資に見合う収益を確保できない(コスト上昇は含まない)」(15.4%)、「借り入れ負担が大きい」(15.0%)、「手持ち現金が少ない」(14.2%)、「設備投資にかかるコストの上昇」(12.1%)、「自社に合う設備が見つからない」(11.9%)、「人件費の高騰による利益率の低下」(11.2%)が1割台で続いた。




規模別に比較すると、「中小企業」では、「先行きが見通せない」が「大企業」より15.7ポイント高いほか、「借り入れ負担が大きい」「手持ち現金が少ない」も5ポイント以上上回っており、先行きと資金面に対する強い不安がうかがえた。

まとめ

本調査の結果、2025年度は企業の57.4%が設備投資の予定(計画)が『ある』としているが、その割合は2年連続で低下した。企業規模間では前年に続いて差異が表れており、規模が大きくなるほど設備投資に積極的な姿勢がみられている。具体的な投資内容は、設備の代替など更新需要のほか、深刻化している人手不足への対応や業務効率化を目的とした省力化投資およびデジタル投資関連も上位に並んだ。一方で、新規投資・増産投資は低水準にとどまっている。

他方で、設備投資を「予定していない」企業は前年から上昇して34.4%となり、その半数近くが「先行きが見通せない」ことを理由にしている。また、設備投資予定の有無にかかわらず、原材料価格の高止まりなどを背景とした設備投資にかかるコストの上昇や金利の上昇傾向などに対する懸念の声が多く寄せられた。その影響で設備投資の規模を縮小せざるを得なくなったケースがみられるほか、今後の設備投資の見送りの可能性も言及されている。さらに、「米国の関税問題が解決しなければ、計画ができない」(鉄鋼・非鉄・鉱業)のほか、「新規工場用地の購入並びに既存工場の改築を予定しているが、米国関税の動向次第では投資時期を延期する可能性もある」(メンテナンス・警備・検査)など、「トランプ関税」が設備投資の足かせとなった様子や、今後の設備投資に影響を与えることを懸念するコメントも多数あがった。

設備投資を取り巻く環境が良好といえない状況が続くなか、補助金の補助率や対象範囲の拡大など、制度の充実を希望する声は少なくない。設備投資に対する慎重な姿勢の影響が景気の動向に強く表れる前に、国には多岐にわたる支援策・促進策の強化が求められよう。

<参考>企業から寄せられた声

設備投資の理由

- 人員不足の工場で、閑散期に作りだめするため倉庫を増設する(化学品製造)
- 人材不足もあり、人手が掛からない自動化設備の導入を実施する。また競争力強化のために最新の設備導入も行う予定(機械製造)
- 現状の継続商品を販売していては、販売単価を上げることができないので、新商品や既存商品のバージョンアップをする。そのためには新しい設備を導入する必要がある(繊維・繊維製品・服飾品卸売)
- 既存の設備の老朽化に対する投資や省エネルギー投資を増やしている。また、人手不足を補うため、1つでも2つでも工程が削減できるよう、省人化関連投資を考えなくてはならない(紙類・文具・書籍卸売)
- 省力化のためオフィスの改装および販売システムのカスタマイズを実施した(機械・器具卸売)



設備投資の予定がない理由や課題

- 人件費と働き方改革で、利益率が大幅に低下しており、設備投資による効果が出るまでの体力が会社にないと判断する企業が多い(建設(鉄筋工事))
- 設備投資にかかるコストや借入金利が上昇している状況にて、新たな設備投資は慎重にならざるを得ない(建設(土工・コンクリート工事))
- 物価上昇、賃上げ、エネルギー価格の高騰に対して販売価格の見直しがほとんどできず、収益を圧迫しているうえに仕事量も減っている。入れ替え時期をとうに過ぎた設備があるが、適当な補助金がなく、あったとしても設備が高額すぎて補助金だけでは賄えず、投資決断ができない(鉄鋼・非鉄・鉱業)
- 昭和から稼働している工場なので、設備の老朽化は避けられない。少しずつ更新を進めているが、建物になると金額も大きく零細企業には厳しい。助成金などは「新築、新設備」が中心とみられるが、「設備更新」に対する支援も行ってほしい(建材・家具、窯業・土石製品製造)
- 設備投資にかかる費用の増大によって計画の変更や縮小を余儀なくされる事態となっている。金利負担について現状は許容範囲内ではあるが、今後の動向次第で計画の見直し、または中止も検討する必要が出てくるかもしれない(化学品製造)
- 不確実性ばかりが増すなかでのチャレンジはリスクが高い (繊維・繊維製品・服飾品卸売)
- 設備の価格が上昇していて、投資意欲が湧かない(運輸・倉庫)
- 補助金の対象範囲が狭まっており、市中金利も上昇しているため中小企業にとっては投資環境が悪化している(旅館・ホテル)

[1] 各選択肢の中間値に各回答者数を乗じて加算したものを全回答者数で除して算出した(ただし、「分からない」は除く)






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