“ウェットに良い”ボールペン

ボールペンは便利だが、ぬれた紙にはなかなかうまく書くことができない。そんな悩みを解決した新しいボールペンを、ゼブラ株式会社が9月23日に発売した。

その名も、“ウェットに良い”という機能をそのまま活かした名前「ウェットニー」だ。

この記事の画像(9枚)

特長は、従来のボールペンでは書きにくかった水にぬれた紙や、壁に設置したボードの紙面にそのまま上向きで書くことができること。

そのため、雨でぬれる屋外の作業現場でも活用が期待できる、新しいボールペンとなっている。

ぬれた紙への筆記線の比較(コピー用紙20秒浸水)
ぬれた紙への筆記線の比較(コピー用紙20秒浸水)

さらには、持ち運びがしやすいようにヒモやカラビナが取り付けられる穴があったり、厚いポケットにもしっかり挟めるメタルクリップ、米国軍事規格に準拠したメタルボディなど、ハードな環境でも使用できるよう形状にもさまざまな機能が詰め込まれている。

ボール径が0.7ミリ、インク色は黒のみで、ボディはガンメタリック・ブルー・オレンジの3色。価格は660円(税込み)となっている。

屋外で働く人にとってはとても便利そうなボールペンだが、どういった仕組みでぬれた紙などに書けるのだろうか? 実際の書き心地はどうなのか?

ゼブラ株式会社・広報室の生川麻友子さんに話を聞いた。

屋外作業者の不満解決のため誕生

ーー「ウェットニー」誕生のきっかけは?

筆記具は屋内で使うイメージがありますが、屋外でも書くシーンは意外と多く、雨にぬれた屋外作業などで「ぬれた紙に書けない」、硬い地面に落として「軸が割れることがある」という不満がありました。そういった屋外作業の現場ならではの潜在的な不満を解決したかったためです。


ーーぬれた紙に書ける/上向きに書ける仕組みを教えて

ノックすると中芯内部のインクに圧縮空気が送り込まれ、その圧縮空気がインクを押し出すことにより、筆記が可能となります。

従来の非加圧式に比べインクを押し出す力が強いため、ペン先から水や空気の侵入を防ぐことができ、水ぬれ面や上向き筆記が可能となります。なお、ノックを解除すると圧力も解除されます。

ぬれた紙に書ける仕組み
ぬれた紙に書ける仕組み

ーーこだわり部分は?

たくさんあるのですが…屋外でもストレスなく書ける仕様にしました。

「書く」…水にぬれた紙や、ペン先を上向きにした筆記ができる。
「運ぶ」…ミルスペックと呼ばれる米軍軍事規格に準拠した頑丈なメタルボディ、紐やカラビナが通せるデザイン。
「持つ」…手袋の上からでも握りやすい凹凸が付いたグリップ。

ゼブラでは、屋外で作業をする人に筆記具への不満を調査。その結果、「ぬれた紙に書けない」というものが不満の約40%を占めていたという。この不満を解消するために「ウェットニー」が誕生したのだ。

(ゼブラ調べ)
(ゼブラ調べ)

そして、この調査からは“持ち運びやすさ”や“握りやすさ”といったキーワードも挙がってきたという。これに着目したことで「ウェットニー」は、「書く」のみならず「運ぶ」「持つ」といった部分にこだわり、屋外での機能性が抜群なものに仕上げたとのことだ。

キッチンなど水回りでも使える

ーー現在の反響は?

ウェットニーは配達業者や建設業といった屋外でお仕事をされる方向けのスペックを持っているのですが、派生用途として需要が伸びているアウトドアやDIYでのメモ、また日常では水場のキッチンでもちょっとしたメモ、お風呂場でアイデア出た時のメモにも良いという声をいただいております。

もともとはプロユース向けに開発スタートした商品ですが、様々なニーズにお使いいただき、お客様によって新しい筆記シーンが創造されており大変嬉しいです。

上向き筆記でもなめらか
上向き筆記でもなめらか

ーー実際の書き心地を教えて

水にぬれた紙への筆記や、壁に設置したボードの紙面にそのまま上向き筆記ができる特長がありますが、普段使いでもなめらかな書き心地で、全天候・屋内外対応のボールペンです。

屋外作業者向けに誕生した商品だが、想定よりも幅広い客層に使われ、日常で活用しているとのことだ。

たしかに自分の一日を振り返ってみても、キッチンや風呂場、トイレの手洗い後など、生活の中でも水に接する機会は意外に多い。このペンならば今まで水気でためらっていた場所でも、忘れないよう思いついた瞬間にメモなどすることができそうだ。

【関連記事】
水で習字の練習が1万回できる「水書用紙」で汚れの心配なし…パイロットに仕組みを聞いた
会議中のあの“気まずさ”を解消…キングジムの「スマートボールペン」は買い?

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。