閉山中の富士山で無謀な登山が相次いでいることを受け、静岡県は山岳救助を中心に防災ヘリが出動する救助事案に関する有料化の検討を始めたことを明らかにしました。
富士山をめぐっては閉山期の登山について自粛が呼びかけられている一方、無謀な登山が相次いでいて、4月には都内に住む中国人大学生が1週間に二度も救助される事案が起きたほか、5月17日にも中国人大学生2人が元祖7合目で動けなくなっている旨をSNSに掲載し、投稿を見た人からの通報を受け県警の山岳遭難救助隊などが出動する事案が起きています。
このため、静岡県富士宮市や山梨県富士吉田市の市長が「遭難すると人命を大事にするという見地から救助にいかなければならない。その費用は莫大なもので、個人負担にするべきだし、自己責任」などと救助の有料化を訴える声をあげ、山梨県も防災ヘリによる救助の有料化を含めた条例制定の検討を始めています。
こうした中、静岡県の鈴木康友 知事は5月22日、「救助の有料化にかかる検討については私からも関係部局に検討の指示をした」とのコメントを発表した上で、「全国的な問題であり、まずは国において課題整理を行うなど遭難救助費用の自己負担の在り方を検討されることが望ましい」との考えを示しました。
静岡県は山梨県とも歩調を合わせた検討を進めるとしています。
山岳事故をめぐっては、活動中にヘリコプターが墜落し隊員が死亡したことを受け、埼玉県が2018年に全国で初めて条例により救助の有料化に踏み切り、指定された山や地域において防災ヘリで救助を受けた場合、燃料費に相当する手数料としてフライト時間5分につき8000円を徴収しています。