福島県内では、2025年5月17日から乗り合いバスの運賃が引き上げられる。平均で1割ほどの引き上げとなる背景には、地域の交通が抱える大きな課題がある。
地域の足となる路線バス
福島県福島市。JR福島駅を出発し福島県立医大病院に向かうバスは、座席がほぼ埋まっている状態。この区間の運賃はこれまで500円だったが、5月17日から550円になる。

週に3回はバスを利用するという尾形麗子さん(85)は、値上げの前に定期を「駆け込み購入」した。「年金暮らしなので値上げは困る。でも出かけないことには、ボケちゃうしね。バスは無いと困るね」と尾形さんはいう。
初乗り 170円→200円
福島交通が、5月17日から実施する運賃改定。初乗り運賃が170円から200円となるほか、例えば、JR福島駅東口から福島市役所までは20円の値上げ、JR郡山駅前から郡山市役所までも同じく20円の値上げとなる。高速バスや「100円バス」などを除き、全路線で平均約1割の引き上げだ。
困惑と理解…利用者の声
バスを利用する人たちからは「バスを利用するのは、お買い物とか病院ぐらい。3カ月に1回くらいしか病院に来ない」「我々高齢者の足がなくなってしまうから、我々もバスが少なくなれば困る。値上げはしょうがないですね」との声が聞かれた。

地域交通の維持のために
人口減少が進む福島県内では、コロナ前と比べるとバスの利用者は2割ほど減少。
燃料費の高騰や運転手を確保するための待遇改善も必要となり、福島交通としては消費税率の引き上げを除くと17年ぶりの値上げに踏み切った。

福島交通乗合営業課の金田覚課長は「福島県内の交通を維持していくことは、弊社の使命。お客様の利便性が上がる取り組みは、設備投資しているので、そういったところを含めて利用していただければ」と語った。
見直しを迫られる地域交通のあり方。福島交通は飯坂線についても5月17日から運賃を平均で2割ほど引き上げる。

2026年3月には、JR東日本も会社発足後はじめてとなる全面的な運賃改定を予定している。地域に欠かせない公共交通、その未来を私たちも真剣に考えなくてはならない。
(福島テレビ)