大規模災害で携帯などがつながらず孤立した地域に、衛星通信スターリンクを使ってドローンをコントロールし、医薬品を届ける実証実験が広島県で行われた。
2.6kmの山越え
実験が行われたのは、山に囲まれた広島県北広島町の診療所。

直線距離で2.6 km離れた町の支所との間で、医薬品を載せたドローンを飛ばす実験だが、山を越えるだけでなく鉄塔や高圧線もあり、これらを避けて飛ばす必要がある。

今回は衛星を使って、携帯の電波が届かない地域でもインターネット接続が可能となる「スターリンク」を使ってドローンをコントロールする。
「スターリンク」は能登半島地震でも大きな力を発揮したことから、広島県は2024年に、可搬式と固定式のあわせて4台を導入した。
ドローンには3kgの医薬品
町の職員がマスクや手袋などの輸送要請を受け、物資の入ったおよそ3kgの箱を大型物流ドローンに積み込み、バランスを確認。

一見、しっかり載っているように見えても、安定した飛行のためには、荷物の位置を細かく調整する必要がある。

荷物を載せたドローンは、まずは手元のコントローラーで上空の安全な場所に飛ばし、そこから自動飛行となる。
安全のため、今回は目的地までの間に複数の見張り役も配置したが、スムーズに飛行し、車で5分ほどの距離をおよそ15分かけて無事着陸した。
孤立させない通信、輸送手段
北広島町の川手秀則 危機管理監は「物資輸送ができる大型のドローンは、小さい役場では準備できないので、県の協力を得ながら活用についての研究をしたい」と災害時の物資輸送に期待をかける。

また、広島県危機管理課の立田正雄参事は「被災時に、全部のところに自衛隊が派遣要請されるかわからないので、早く支援ができる手段としてスターリンクとドローンは有効になるのではないか」と災害初動での有効性を強調する。
今回の実証実験を生かし、広島県はほかの地域での訓練も予定している。
災害時に携帯など通信が途絶えた地域を孤立させない手段として、様々なテクノロジーを組み合わせて活用することが期待されている。
(テレビ新広島)