JA全中の会長が13日「米は高くない」と発言し、波紋が広がっている。米の価格は2024年比約2倍で家計を圧迫する一方、農家は肥料などのコスト高で利益が薄いという。

JA会長「米価格は高くない」発言に波紋

米価格が高止まりする中、13日のJAトップの発言に波紋が広がっている。消費者、そして農家はどう受け止めたのか。

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テーマは、「JAトップの『米価格は高くない』発言 ソレってどうなの?」だ。

14日、自民党の小野寺政調会長が備蓄米の倉庫を視察した。そこで「備蓄米を放出した場合、原則1年以内に買い戻す」とされている要件について、注目の一言が飛び出した。

自民党・小野寺政調会長:
買い戻し条項は政府の方針として撤廃ということなので、今大切なのは少しでも早く米を消費者に届けることだと思う。

要件が緩和され、米の流通が促進することに期待感を示した。

そんな中、全国農業協同組合中央会・JA全中の山野会長の13日の発言が注目を集めている。

JA全中・山野徹会長:
今備蓄米が出回りつつあり、店頭の小売価格の上がり幅は縮小傾向から「下落した」という発表もある。その効果が現れ始めている。決して高いとは思っておりません。

「米価格は決して高くない」、その理由は物価高に加えてもうひとつ、長年にわたり販売価格が生産コストを賄えないほど低い水準だったと指摘した。

米農家は苦しんできたという。

12日に農林水産省が発表したスーパーで販売される米の平均価格は、前の週より19円低い4214円だ。18週ぶりの値下がりではあるが、2024年の同じ時期の2106円と比べ、約2倍になっている。

そんな中、飛び出した「米の価格は高くない」という発言について、街の皆さんに聞いた。

街の声:
「高くない」と言われてもって感じですね。実際に高いし。どういう意図を持って発言したのか。

街の声:
なんかJA(全中)の方と市場とはギャップがあるようには感じる。一般市民とは違う感覚を持っているのかなと感じる。

多くのお客さんが米を購入する場面を見てきた担当者、スーパーセルシオ和田町店の久保田さんにも話を聞いた。

スーパーセルシオ・久保田浩二さん:
(スーパーは)直に消費者が買い物に来られる場所ではありますので。5kgの米を躊躇して、2kgの米を買うお客さまが実質増えているということでは、他の商品の物価高とは、ちょっと比較にならないほどの値上げにつながってしまっているので。私自身も高すぎるなと…。

米価格高騰も…コスト増に悩む農家

イット!のスタジオでは

青井キャスター:
JAトップの発言、どう受け止めますか?

SPキャスターパックン:
一般消費者の感覚から、結構乖離(かいり)していると思いますね。もちろん米農家は儲ける権利がありますよ。より安く作って効率よく供給してほしいんですけど、パスタがいま5kgで2000円台ですよ。食生活が変わってしまったら米農家はもっと困りますよ。

青井キャスター:
では実際、米作りをしている農家の方にも聞いてみました。米価格は高くない発言をどう感じたんでしょうか?先日、私も田植えの手伝いをさせていただきました加瀬さんにお話を聞きました。

加瀬園芸・加瀬好基さん:
米価格については、コストに見合った適正な価格を自分たちは求めています。消費者からして高いと思われると思うんですけれど、昔のように米が安いとなると、農家の収益としては米を作ったらマイナスぐらいにコストが上がっているので、米の値段が上がっていただきたいというのは正直あります。

青井キャスター:
しかしその一方、米価格が高止まりしているのに、農家は経済的に潤ってはいないと言うんです。

加瀬園芸・加瀬好基さん:
自分たち農家は、玄米60kg2万1000円で手放しているわけです。なんで(価格)上がってしまっているのかなというのは正直ありますね。

青井キャスター:
専門家の松平さんは米の供給と生産、流通を正常化させることが重要だと言います。

宇都宮大学農学部・松平尚也助教:
生産者と消費者の納得というより、お互いが継続して作り続けて食べ続けられるような価格が適正価格として考えられるべき。これを市場に任せてしまうと、高騰したら高止まりしている状況。市場に全てを任せること自体リスクがあるということが、価格が高騰し続けている背景にあると思います。

米価格は本当に高くないのか。消費者、農家ともに納得できる答えが、今求められている。
(「イット!」5月14日放送より)

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