のんびり海を泳ぐ野生のラッコ。
北海道東部の浜中町霧多布岬はラッコの希少な生息地となっていて、5月8日もぷかぷかと愛くるしい様子を見せていた。
しかし。
「ラッコの鳥インフルエンザ感染を受けて、霧多布岬に『野生動物には触らないで』と書かれた貼り紙が掲示されています」(沼田海征記者)
ラッコの鳥インフルエンザの感染は国内で初
浜中町では4月下旬、海岸でラッコの死骸が見つかり、検査の結果、高病原性の鳥インフルエンザが検出された。
ラッコの鳥インフルエンザの感染は国内で初めて。
訪れた人からは心配する声が聞かれた。
「(感染を)とめようがあるのかな、野生の動物だし」
「いなくなっているか心配だったけど見つけられてよかった」(ラッコを見に来た人)
ラッコの調査や保護活動をしているNPOの理事長も、初めての事態に驚きを隠せない。
「正直いって驚きましたね。3月の下旬に鳥の死骸が2つほど浮いていて、それをラッコがおもちゃにして遊んでることもあった。これからどうなるか見続けていかないと」(NPO法人エトピリカ基金 片岡義広理事長)

根室でもアザラシや海鳥の死がいが―
異変は北海道根室市でも。
地元の学芸員などの調査グループによると、アザラシ6頭、海鳥600羽以上の死骸が見つかり、検査したほとんどの個体で高病原性の鳥インフルエンザの感染が確認された。
北海道内の鳥インフルエンザの感染は、過去多かった2023-2024年シーズンより大幅に増え、過去最多の103例に。
特に、釧路・根室管内で約6割をしめている。
「種類が分からないですけど、ウミスズメの仲間じゃないかなと、こっちはウの仲間かな」(根室市歴史と自然の資料館 外山雅大学芸員)
学芸員の外山さんは8日朝、根室市・長節地区の海岸を調査。
砂浜には十数羽鳥の死骸が打ち上がっていた。
さらにアザラシの死骸も。
「(アザラシの死骸は)今年は多いと思います。やはり鳥インフルエンザの影響というのは考えられますね。そのせいで増えているのではないかなと思っています」(外山学芸員)

なぜ海でウイルスが?専門家によると
なぜ北海道東部の海で感染が広がっているのか?
動物の感染症に詳しい専門家は、より様々な鳥に感染するようにウイルス自体が変化しているという。
「だんだんウイルスに感染する鳥の種類が増えてきて、海鳥でも感染するというウイルスにだんだん変わってきている。水場を一緒に使っていたり、岩の上とかで羽を休めるっていうところで群れる間に、ウイルスですから、感染が起きてしまうということ。見つかってるのは氷山の一角だと思います」(北海道大学大学院 迫田義博教授)

人への感染リスクは?
ウイルスが変異し、ラッコやアザラシなど、鳥以外でも感染が確認されはじめた鳥インフルエンザ。
人への感染リスクはあるのだろうか?
「鳥から人に感染するということは過度に心配する必要はないと思います。我々日本人が普通に持っている衛生観念を持って、死んだ鳥や動物を見つけたときには触らない」(迫田教授)
北海道内で過去最多の感染が確認されている鳥インフルエンザ。
今後、感染拡大は続くのだろうか?

北海道内で、養鶏場の鳥への感染は、現在は確認されていない。
ただ、鳥インフルエンザが感染拡大すると、卵への影響も心配される。

北海道大学大学院の迫田義博教授によると、鳥インフルエンザが流行するのは、秋と春の渡り鳥のシーズンで、2025年春の渡りは終盤だという。
そのため、5月下旬まで対策等を続けて注意をしていれば、卵などへの影響はまぬがれるのではという事だ。
