「こちらは総務省の総合通信局です」宮城県内でこうした自動音声が流れる電話が相次いでいる。通信サービスの停止を告げ、オペレーターと話すよう催促してくる。警察によると、これは詐欺の電話だという。総務省も「電話で個人に案内することはない」と明確に否定していて、自動音声に応じてしまうことで、詐欺犯に狙われるリスクがあるという。手口の詳細を警察に聞いた。

TV局にもくる自動音声電話
詐欺を狙った自動音声の電話は手当たり次第、所構わずかかってくる。報道機関もそうだ。仙台放送のニュースセンターにも何本もかかってきた。そのうちの1回を録音した。以下が自動音声の内容だ。
「こちらは総務省の総合通信局です。お客さまの通信サービスを2時間以内に停止させていただきます。オペレーターにおつなぎする場合は1を押してください」

放置しても何も起きず
総務省の総合通信局を名乗る自動音声。総合通信局とは東北や関東など各地方にある総務省の機関で、情報通信や放送などの業務を担当している。

しかし、発信先の電話番号は非通知。自動音声のガイダンスが2、3回繰り返された後、通話は突然切れた。電話を録音した後、2時間以上放置してみたが、もちろん電話回線も通信回線も止まることはなかった。
無差別電話の目的は?
総務省は「通信の利用停止について、個人に電話することは一切ない」と明確に否定している。なぜこのような電話を手当たり次第にかけ続けているのか?それは「だまされやすい人」を探し出すためだという。
宮城県警は、こうした電話を詐欺の「予兆電話」として警戒している。

狙いはターゲットのリスト化
ほとんどの人が自動音声の指示に従わなくても、電話番号の一覧をもとに一斉に電話をかけることで、何人かは不安に思って応じてしまう。
犯行グループは、案内に従ってボタンを押した人を「だまされやすい人」と判断し、リスト化。今度はそのリストをもとに、詐欺犯が直接電話をかけて不安をあおり、金をだまし取りにかかるという。

急増する予兆電話 不安なら相談を
宮城県警によると、去年7月ごろからこうした電話が増え始め、最近は月20~30件の相談が寄せられているという。

こうした電話は総務省に限らず、税金滞納や未払金など、さまざまな口実で、あらゆる公的機関やサービスをかたり、アプローチしてくる。また、「自分はだまされない」という思い込みも危険だ。電話の先にいるのは、だましのプロ。話を聞いているうちにだまされてしまう危険があるという。

警察は不審な電話を受けたら焦らずに、相談専用電話「#9110」や、最寄りの警察署に相談してほしいと呼びかけている。