北欧のデンマークでは5日、第2次世界大戦でのナチス・ドイツからの解放記念日を迎えました。

あれから80年、自由を得た国は再び、国家規模で戦争に「備える」体制を急速に強化しています。
現地を取材しました。

戦後80年を迎えたデンマーク。
“平和な国”としての道を歩み続けていたこの国は、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、今、大きく変わりつつあります。

政府は2024年3月、男性だけでなく18歳以上の女性も2026年から徴兵の対象に加え、兵役期間も現在の4カ月から11カ月に延長することを決めたのです。

街で出会った16歳の少女に、女性の兵役について市民はどう受け止めているのか聞くと、「女性を軍隊に含めるのは良いことだと思う」と話しました。

一方、「強制的に軍隊に入らされるのは悲しいしイライラする」といった、否定的な意見も。

自ら、軍に入ることを決めた女性もいます。

自ら軍に入ることを決めたフレーヤさん:
私は志願したので、これを機会ととらえている。

ーー徴兵に抵抗感のある女性にメッセージは?
自ら軍に入ることを決めたフレーヤさん:

“まず試してみて”と伝えたいです。絆の強い場所だから。

「備え」の強化は、軍だけではありません。
首都コペンハーゲンに暮らす15歳のノア君の家庭では、2024年6月から水や食料などを備蓄し始めました。
デンマーク政府が全国民に向けて、「3日分の備蓄」を呼びかけたためです。

ノア君:
ヨーロッパにおける脅威は以前より広がっている。そのためこのような準備は必要だと考えるが、一方で、「なぜこのような準備が必要なのか」という疑問や懸念もある。

自由を手にしてから80年。
ウクライナ侵攻を続けるロシアへの警戒感や、アメリカへの信頼低下で、デンマークはいま誰もが戦争に「備える覚悟」を問われています。