アメリカのトランプ政権との関税交渉で、アメリカ産のコメの輸入を拡大する案が浮上している。ただ、安価なコメが国内で流通することに、新潟県内のコメ農家は不安を覚えていた。

アメリカ産米の輸入拡大案…農家からは不安の声

「ものすごく安いものが出てくる。そうなったら我々はとてもダメ」

小千谷市のコメ農家・堀井修さんが懸念を示すのは、政府内で浮上したアメリカ産のコメの輸入拡大案についてだ。

コメ農家 堀井修さん
コメ農家 堀井修さん
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就任以来、自国優先の関税政策を展開しているアメリカのトランプ大統領。

日本時間の4月17日にホワイトハウスで行われた赤澤経済再生担当相とトランプ大統領との会談では、コメや肉・ジャガイモといった農産物の輸入拡大をトランプ大統領が求めたことが分かっている。

そこで、関税をめぐる交渉の切り札としてアメリカ産米の輸入を拡大する案が政府内で浮上しているのだ。

しかし、これに堀井さんは「アメリカ産のコメはまずくはない。ただ、アメリカは1軒1000ヘクタールの田んぼで作っている。この辺りでせいぜい大きいといったら40~50ヘクタール。それが競争したらどうなる」と、大規模農業のアメリカとは「価格で戦うことができない」と指摘。

実際、東京都のコメの専門店では、4月中旬に国産米が1kgあたり約800円なのに対し、関税をかけずに輸入する“ミニマムアクセス”を活用したアメリカ産と国産のブレンド米は約600円で販売されていた。

「誇りだけでは作れない」コメ農業存続へ対策求める

肥料や燃料の価格も上がっているため、コメの価格が下がってしまうと農業を続けられなくなるだけではなく、コメ農業の存続に関わってくると堀井さんは話す。

「アメリカのコメは5kg3000円とか3500円で売れる。米価が最近上がったが、私どもは、またそこまで価格が下がったらやっていけない。採算が合わないから後継者もいるわけがない」

カロリーベースで自給率が99%に達するコメの輸入拡大について、江藤農水相は「もし、大量に主食である、しかも自給可能なコメを海外に頼る。日本のコメの国内生産が大幅に減少してしまうということが国益なのかということは、私は国民全体として考えていただきたい」と慎重な姿勢を示している。

これに対し、堀井さんは期待感を示したうえで、「国民の食料を作っている。誇りはある。しかし、誇りだけでは作れない」と、さらなる対策を求めた。

1993年にコメの部分的な輸入・ミニマムアクセス米の受け入れを決めた際にも大きな反発があったコメ。

再び日本の食卓を支えるコメ作りが岐路に立たされている。

(NST新潟総合テレビ)

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