『日本の若い女性は痩せすぎ』。

この状態が、将来に影響する健康障害を起こしているとして、医学会が警鐘を鳴らした。

「日本の若い女性は痩せすぎ」
「日本の若い女性は痩せすぎ」
この記事の画像(16枚)

関西テレビ「newsランナー」では、若い頃に過度なダイエットをしていたという40代の女性を取材。

「骨が折れやすい」という深刻な状況とは…。

「日本の若い女性は痩せすぎ」
「日本の若い女性は痩せすぎ」

■若いころの過度なダイエットで骨密度が低くすぐに骨折

岡山県に住む三浦景子さん、47歳。卵料理の店を営み、今は健康に生活しているが、体に意外な悩みを抱えていた。

三浦景子さん:ちょっとぶつけただけで折れやすいし、腫れやすい。

3年ほど前、駐車場の縁石にぶつけただけで、足の甲の骨が折れ、手も「トン」とついただけで骨折。

医師からは47歳にしては骨密度が低く、骨折に気を付けるよう言われた。その原因とみられるのが…。

三浦景子さん:(Q若いころは無理を?)そうですね、かなり無理はしていたと思います。栄養を摂る時期に取っていなかった。

若いころの過度なダイエット。それが今の日本の若い女性でも問題になっている。

骨折しやすかったという三浦さん
骨折しやすかったという三浦さん

■女性100人中82人が『痩せたい』と回答

日本では20代の女性の5人に1人が肥満度を示すBMI18.5未満の低体重=「痩せ」にあたり、先進国の中でも特に高い割合になっている。

女性の実態はどうなのか?「今より痩せたい」かそれとも「今のままでいい」か。「newsランナー」取材班は、街で女性100人に独自調査した。

「自分は痩せたいです」「痩せさせて下さい」

痩せたいと答えたのは100人中82人。今のままでいいと答えたのはたった18人だった。

100人中82人が『痩せたい』と回答
100人中82人が『痩せたい』と回答

なぜ「痩せたい」のだろうか?

18歳女性:痩せたら着る服の幅広がるんで痩せたいですね。

20代女性:昔からアイドルが好きで、みんな細くてきれいなので憧れみたいな感じ。

皆それぞれの理由があったが、一番多かったのは自分が好きな「アイドル・モデル」の影響だ。

「アイドルが好き。みんな細くてきれい」
「アイドルが好き。みんな細くてきれい」

■食事制限でダイエットする人が多い

さらに取材を進めるとそれぞれのダイエット方法が見てきました。

20代女性:脂肪の塊がセルライトなんですけどそれは自力じゃ落ちないみたいで機械に頼るしかない。

この女性は、およそ30万円かけエステに通っているという。

またダイエット方法として多く上がったのは…。

20代女性:食事制限とか1日2食くらい。

18歳女性:食べない。食べない。一番痩せると思う。

「食べないが一番痩せる」
「食べないが一番痩せる」

多くの人が食事を制限し減量しているが専門家は…。

なんばながたメンタルクリニック 永田利彦院長:ダイエットをして食事を抜くということですから、飢餓状態を自分で自分に課しているということで非常に危ないことをしている。

「飢餓状態を自分に課す…非常に危ない」
「飢餓状態を自分に課す…非常に危ない」

■日本肥満学会が「低体重・栄養不足」による健康障害のリスクを指摘

こうした実態を受けて先週、記者会見をしたのが、「日本肥満学会」。

学会はこれまで、「肥満」への警鐘を鳴らしてきた。

日本肥満学会 小川渉常務理事:肥満は健康障害のリスクですが、低体重もやはり健康障害のリスク。

これまでの啓発で、「太りすぎ」の危険性は知られるようになったが、「低体重・栄養不足」による健康障害、例えば、骨粗しょう症などの将来にわたるリスクが伝わっていないと指摘。

今後、日本肥満学会は、低体重・栄養不足の状態も、「疾患」と定義し、予防の指針を確立する考えだ。

低体重もやはり健康障害のリスク
低体重もやはり健康障害のリスク

■身長165センチで体重48キロキープしようとした結果、生理の周期乱れる

過度なダイエットによる健康リスクを、身をもって体験したのが、岡山に住む三浦景子さんだ。

モデルをしていた三浦さんは、「痩せていることが当たり前」と思い、18歳ごろからダイエットを始めた。

三浦景子さん(47):白ご飯は絶対食べなかったし、パンも食べないようにしていて。常にダイエットをしていたのでお腹いっぱいになることがなかったんですよ。

身長165センチで体重48キロをキープしようとした結果、生理の周期が乱れ、常に体調が悪く、風邪をひいて薬を飲む生活だった。

「お腹いっぱいになることがなかった」
「お腹いっぱいになることがなかった」

■ダイエットは産後も…変わったきっかけは夫の存在

ダイエットは、2人の娘を出産した後も、33歳ごろまで続けた。

三浦景子さん:出産直後から痩せるためにカロリーを控えると頭痛がものすごく起きやすくなって。ただただ頭を冷やして耐えながら撮影するという事をしてました。

その景子さんが変わったきっかけは、長く飲食店の仕事をしてきた夫の真幸さんだ。

夫・三浦真幸さん(43):僕自身が、体調を崩した時に栄養を摂ってご飯を食べて治すタイプだったので。良かったら一緒にご飯を食べて試してみてという話はしました。食事制限しなくても、今の状態ですごくきれいだと思うので。そこまでする必要ないのになと思っていた。

3年ほど前までは骨折に悩まされていたが、今は栄養をしっかり摂り、健康を取り戻したという。

変わったきっかけは夫の存在
変わったきっかけは夫の存在

■「食べた方が後々の自分のためにはよかったなと後悔」

2人で営むお店では、栄養バランスのいい料理を出している。

痩せることばかり考えていた過去の自分自身に対しては…。

三浦景子さん:今思うと、なんでそんなことをしたのだろうとは思います。ただただ一生懸命ではあったんだとは思います。ただ、しなきゃよかったなと思う部分の方が、正直、今は多いです。

三浦景子さん:痩せている、太っているに関係なく。それが私なんだと主張する人が今、増えてきたので、それに対してすごく勇気をもらっています。」

そして、「痩せたい」と思う若い女性たちの気持ちも分かるという三浦さん。「ダイエットをやめて」とは言えないものの…。

三浦景子さん:食べた方が後々の自分のためにはよかったなと後悔している人間がいるというのは知ってほしいなと思います。

「食べた方が後々の自分のためにはよかった」
「食べた方が後々の自分のためにはよかった」

■「痩せたい」気持ちで“低栄養”さまざまな健康リスク

女性の「痩せたい」という気持ちも理解できるが、痩せることで骨粗しょう症や月経周期の異常など、健康リスクが出てくるということだ。

ジャーナリスト 浜田敬子さん:若い時にダイエットをして、年をとって健康リスクが現れた方が紹介されていましたけれど、若い時からすでにいろんな健康リスクが出てくるんです。月経の異常とか貧血とか。

ジャーナリスト 浜田敬子さん:やはり“低栄養”なので、栄養価が低いんです。『飢餓状態』であるということは、健康によくないですよね。

ジャーナリスト 浜田敬子さん:さらに産婦人科の方に聞いたのは、出産する時に赤ちゃんも低体重になってしまうということで、自分の健康だけじゃなくて、将来のことを考えてしっかり食べてくださいと、ずっと女性の健康に関わるお医者さんたちは言ってこられていました。

“低栄養”で「骨粗しょう症」などのリスク
“低栄養”で「骨粗しょう症」などのリスク

■「美人=痩せているではない。健康な体になることが美しい」

痩せたい願望を持つ多くの若年層のカウンセリングをしている、なんばながたメンタルクリニックの永田利彦院長は『女性のダイエット』について、次の問題を指摘する。

・“健康な状態”なのに痩せる。そのこと自体に問題がある

・「美人=痩せている」ではない。健康な体になることが美しい

「美人=痩せているではない」と医師
「美人=痩せているではない」と医師

■女性に「痩せていることを要請する社会」に問題

VTRに出演してくれた三浦さんが言っていた、「痩せているとか太っているとか関係なく、これが私なんだ」という考え方が大切なのかもしれない。

犬山紙子さん:おっしゃるとおりです。私自身も若い頃に無理なダイエットをして、生理が不順になったりしたこともありました。今は『やらなきゃよかったな』と思うんですけど、当時の私を責めるのか、そして今ダイエットをしている若い女性を責めるのかというと、そうじゃないと思うんです。

犬山紙子さん:それを要請する社会があるんです。痩せている女性の方が社会の中で優遇される。逆に言えば太ってる人がそれだけで例えば面接で落とされるみたいなことがある。そういうルッキズムの問題があって、社会がそれを要請しているから、痩せたいと思ってしまうのは仕方ないことだと思うんです。

犬山紙子さん
犬山紙子さん

犬山紙子さん:これは、若い女性たちに『もっと食べたほうがいいよ』と言うだけじゃ多分だめで、もちろん知識を与えることもとても大切なんですが、合わせて社会側がいろんな体型の方がメディアに出るとか、そういうことが必要になってくるのかなと思います。

私たち一人一人の意識が変わることが、社会を変えるきっかけにつながるのかもしれない。

意識を変え、社会を変える必要があるのかもしれない
意識を変え、社会を変える必要があるのかもしれない

(関西テレビ「newsランナー」 2025年4月22日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。