政府が21万トンの備蓄米を放出した効果は表れず、コメの価格は値上がりを続けている。この状況下で、今後も加工用米を確保し続けることはできるのか…不安視する越後味噌を製造する企業を取材した。
味噌づくりに必要な“加工用米” 大幅な値上がり予想…
農水省によると、全国のスーパーで販売されたコメの価格は、4月6日までの1週間の平均で5kgあたり4214円だった。前の週より8円高く、14週連続の値上がりとなった。

コメの高騰は、味噌の製造にも大きな影響を与えている。
来年、創業90年を迎える渋谷商店。新潟県聖籠町で、年間600トンの味噌を製造している。
渋谷商店では、大豆よりもコメを多く配合する米味噌を製造。県産の加工用米を年間で100トン使用しているだけに澁谷信夫代表は「やはり味噌にするにはコメは要、命」と話す。

ただ、懸念材料となっているのは、大幅な値上がりが予想されている25年秋に収穫される加工用米の価格だ。
澁谷代表は「加工用米は年々何割か上がってきているが、10月から大幅に上がるので、大げさに言うと倍近くなってくる。なかなか大変になってくる」と今後の動きを懸念する。
加工用米“確保”に不安も…「生産減るのでは」
さらに、その先には、加工用米そのものを確保できるのかという不安も広がっている。

「やはり農家の方が主食用米ばかりを作って、加工米の生産が減ってくるというのはとても心配している」
これまで、米価の下落を防ぐために呼びかけられていた主食用米から非主食用米への転換。しかし、コメの価格が高騰する中で加工用米の生産が減れば、その影響は様々な食品に及ぶことが懸念される。
日本の伝統的な食文化を脅かしかねないコメをめぐる現状。
澁谷社長が願うのは、将来にわたり加工用米が確保され、伝統的な越後味噌をつくり続けることだ。
(NST新潟総合テレビ)
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