この冬の大雪で、山形県内では果樹の枝折れなどの農業被害が相次いだ。雪が解け、被害の全容が明らかになる中、農家から支援を求める切実な声が上がっている。

春迎え、大雪による被害があらわになった畑を見つめる果樹農家
春迎え、大雪による被害があらわになった畑を見つめる果樹農家
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大雪による今季の農業被害2億7000万円超え

この冬の大雪で、県内ではリンゴやブドウ・サクランボといった果樹の枝が雪の重みで折れたり、農業用ハウスが壊れたりする被害が相次いだ。

県のまとめでは4月8日時点の農業被害額は2億7300万円に上っている。

果樹の枝折れ・農業用ハウスの倒壊など、大雪による被害額が2億7000万円を超える
果樹の枝折れ・農業用ハウスの倒壊など、大雪による被害額が2億7000万円を超える

まだ雪深かった2カ月前に取材した米沢市の果樹農家・横沢賢一郎さんの農地を訪れた。
当時、2メートル近い積雪があった自宅近くの園地はすっかり雪が解け、被害の爪あとをはっきりと確認できた。

立派に育った果樹の太い枝が、雪の重みに耐えられず折れたり割れたりしていた
立派に育った果樹の太い枝が、雪の重みに耐えられず折れたり割れたりしていた

枝折れ免れても安泰ではない果樹栽培

2月の取材では雪に閉ざされて立ち入ることができなかった山あいのリンゴ畑にも連れて行ってもらった。

横沢賢一郎さんは畑を眺めながら、「この畑にはリンゴの木が250本くらいある。無傷の木はほとんどないくらい。なかなか厳しい…」と話した。

果樹の木々をここまで育てるには相当の年月が必要
果樹の木々をここまで育てるには相当の年月が必要

広さ約2ヘクタールのリンゴ畑。ほとんどの木で枝折れが確認され、その規模は横沢さんの想像をはるかに超えていた。

太い枝が折れたため、収量は2024年を大きく下回る見込みで、無事だった枝に実がなったとしても、これまでと同じような品質に仕上がるのかも不透明だという。

生き残った枝にフルーツの実がなったとしても懸念は残る
生き残った枝にフルーツの実がなったとしても懸念は残る

横沢賢一郎さん:
実がなったとしても、枝が折れたことで養分バランスが乱れて、栄養が余計に行きすぎてしまい、色づきが悪くなったりする。その辺を注意して見ていきたい。

枝折れで木の養分バランスが崩れることの影響も計り知れない
枝折れで木の養分バランスが崩れることの影響も計り知れない

農家から“息の長い支援”求める切実な声

県は、大雪による農業被害について相談窓口を設置し、壊れた農業用ハウスの復旧費用の一部を補助するなど支援を行っている。
それでも、現場からは切実な声が上がる。

県は農業被害の相談窓口を設置しているが…
県は農業被害の相談窓口を設置しているが…

横沢賢一郎さん:
果樹というのは、苗木を植えて5年経ってようやく実がなるような時間のかかる作物なので、長い目で見た支援をいただければありがたい。

苗木を植え、果樹が実るようになるまでに時間がかかることを忘れてはいけない
苗木を植え、果樹が実るようになるまでに時間がかかることを忘れてはいけない

果樹王国・山形を支える農家に、かつてない大雪の影響が重くのしかかっている。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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