大阪出入国在留管理局で職員から暴行を受けたとしてペルー人の男性の遺族が国に賠償を求めた裁判で、大阪地裁は、職員の判断の一部に違法性を認め、11万円の賠償を命じた。
しかしけがについて、違法な暴行によるものと認めなかった。
8年前、不法滞在などの理由で大阪出入国在留管理局に収容されたペルー国籍のブルゴス・フジイ(当時44歳)さんは、収容中に職員から暴行を加えられ、左腕を骨折したなどとして、国と職員に約220万円の損害賠償を求める裁判を起こした。

■後ろ手錠のまま14時間以上放置
訴状などによると、フジイさんは、食事に不満を訴えたのがきっかけで、保護室で隔離された。
フジイさんは、トイレに行くこともできず、「後ろ手錠」のまま14間以上放置され、職員に押さえつけられた際、左腕を骨折するなどのケガをしたと訴えた。
国側は、「暴れるのを止めるため、必要最小限の制圧行為だった」として、訴えの棄却を求め、職員の行動の違法性が争点となっていた。

■大阪地裁は「前手錠では十分な抑止ができない 判断は合理的」も「8時間後は静かに 継続を判断しておらず違法」指摘
きょう16日の判決で大阪地裁は、「後ろ手錠」をしたことについて、フジイさんが大声をあげて椅子を持ち上げたなどの経緯から、「手錠を使用しなければ制止が困難で、かつ両手を前に動かすことが可能な前手錠では、十分な抑止ができないという職員の判断は合理的なものであったと認めるのが相当」と指摘した。
その上で「(手錠をして)8時間経過後は静かに過ごしていて、手錠の継続について、所長等の承諾が必要にも関わらず組織的に判断されておらず、違法」と判断した。
一方でけがをしたことについては、「職員らが、ブルゴスさんの腕を強打するような行動を認めるに足りる証拠はない」と述べ、違法な暴行によるものとは認められないとして、国に11万円の損害賠償を支払うよう命じる判決を言い渡した。

■フジイさんは2年前に亡くなる
仮放免されるまでの約3年間、入管に収容されたフジイさんは、裁判の行方を見届けることなく、2年前、がんで亡くなった。
(関西テレビ 2025年4月16日)
