小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った「リュウグウ」と「イトカワ」の実物の石の展示が広島市で行われている。特にリュウグウの石は、生命の起源を探る手掛かりと言われるもので、46億年前に太陽系ができた当時の物質だという。
真っ黒の石 顕微鏡で拡大
2020年に「はやぶさ2」が、生命の起源を解明するため、地球からおよそ3億キロ離れた直径900mの小惑星「リュウグウ」で採取し地球に届けた石。

どのように展示されているかというと、2.87mmととても小さいため、顕微鏡で拡大して見るようになっている。

また、さらにわかりやすいように拡大したレプリカが展示されている。取材した野川諭生アナウンサーによると、炭のように真っ黒だという。

このほか、2010年に地球に帰還し話題となった初代「はやぶさ」が持ち帰った「イトカワ」の石もともに展示されている。

また、展示を担当する「5-Daysこども文化科学館」の主任学芸員 松本佳也さんは、
「何としてでも、これは見ていただきたいという思いで企画した」と熱く語る。
「生命の起源は小惑星がもたらした」
これまでの分析でリュウグウは見た目だけでなく、含まれている有機物も多くが“真っ黒”で、私たち生命の起源が“黒い炭”だったのでは、という新たな説も出ている。

「はやぶさ2」プロジェクトに初期から関わった広島大学の薮田ひかる教授は「生命の起源と言うと、いろいろな考え方があるが、主要な物質、海と大気と炭素というあたりを考えたときにその答えは見えてきたと思う。リュウグウのような炭素質小惑星がもたらしたのではないかと」とリュウグウのような小惑星と生命の起源の関係を強調する。

また、今回の実物展示で注目してほしいポイントについて薮田ひかる教授は「46億年前に太陽系を作った物質が私たちの目の前にあるのは、非常に不思議なこと。地球には、あんなに真っ黒ののっぺりとした石は存在しないが、大昔の宇宙で当たり前のようにできていた。見た目からは分からないが密度も違う。ぜひサイエンスの面白さに触れていただいて、より多くの次世代の方たちがこの道に進んでもらえたら嬉しい」と宇宙と生命の起源の深さを強調していた。

取材した野川諭生アナウンサーによると、「はやぶさ2」は、今後も以下の小惑星の探査を予定しており、新たな発見が期待されている。
2026年 小惑星トリフネ(直径500mほど)の近くを通る
→ 一瞬で通り過ぎてしまうような速さで観測にチャレンジ
2031年 小惑星1998KY26(直径30mほど)に到着
→ 新たな探査技術の獲得へ
小惑星リュウグウとイトカワの実物の石の広島での展示は20日まで、広島市中区の「5-Daysこども文化科学館」で行われている。
(テレビ新広島)