子どもの展示品の破壊行為が相次ぎ、一時閉館していた新潟県出雲崎町のレトロミュージアムがリニューアルオープンした。約2カ月間、一人でリニューアルを進めてきた館長は「マナーを守って楽しんでほしい」と呼びかけている。

“破壊行為”や“モラル問題”で閉館…

リニューアルオープンを迎えたのは、2025年2月から一時閉館していた出雲崎町のレトロミュージアムだ。

出雲崎レトロミュージアム
出雲崎レトロミュージアム
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中野賢一館長は「多くの人たちが応援してくださっていたので、頑張ってつくり上げようと思って、この2カ月間過ごしていた」と話す。

昭和のレトロな文化を楽しめるこの施設が一時閉館することを選んだ背景には、相次いだ展示品の破壊行為や保護者のモラルの問題があった。

黒いテープがはがされる
黒いテープがはがされる

閉館直前の1月、中野館長は肩を落としながら、閉館に至った背景について説明した。

「親子で言い合いが始まって、子どもがここにあったおもちゃをバサーッと落とした。注意したら、親に『だったらこんなところに、触れるような状態にして出しとくんじゃねえよ』という言い方をされて」

出雲崎レトロミュージアムが開館した2023年12月からおもちゃが壊されるなどの被害は50件近くに上り、被害金額は約220万円に。閉館直後、中野館長は寝込むほどにショックを受けたという。

“全国からの応援”受けリニューアルへ

モラルやマナーの悪さから対策や運営方法を検討することにした中野館長。被害金額の補填やリニューアルのための費用は、クラウドファンディングや展示品を販売することで賄った。

出雲崎レトロミュージアム 中野賢一 館長
出雲崎レトロミュージアム 中野賢一 館長

再び立ち上がることを決意した中野館長を支えたのが、全国からの応援だったと明かす。

「以前ニュースで、展示品破壊被害を取り扱ってもらってから、SNSなどを通じて全国の方から温かい言葉やエールが寄せられた。また、広島や大阪から実際にミュージアムに来て“頑張ってください”と、直接応援に駆けつけてくれた人もいた」

こだわった改装 1970年代前半の横町を再現!

この2カ月でミュージアムの内装は大きく様変わり。

1970年代の横町の風景が再現され、当時のゲーム機が置かれているほか、マナーを守ればゲーム機などの体験もできる。

中野館長は「もうまるっと変わっているので、本当に昭和のスタジオにタイムスリップしたような感じ」と話す。

展示品破壊の現状を知った全国の人からのエールを受け、中野館長は約2カ間、1人で改装を実施。

「昭和の路地裏は、建物がまっすぐではなく、凹凸がついて入り組んだような。それをそっくりそのまま再現した」

1970年代前半の横町を再現した風景、そして寄付されたものを活用しながら完成させた教室は細部までこだわり、シューズ入れの中には上履きが入っている。

子どもの入館は保護者の同意書必要に

以前と同じように当時のゲーム機などは見るだけでなく体験も可能だが、展示品破壊の過去があったため、中学生以下の子どもがいる場合には付き添いの保護者の同意書が必要となる。

入館同意書
入館同意書

「この同意書にもし違反した場合は、即退店していただきますと。また、おもちゃなどが壊れた時には弁償してもらうといった内容がかなり厳しいものになっている」

また、中学生以下の子どもは、射的やガチャガチャなど一部のゲームは体験できるものの、多くのゲームは体験ができないルールも設けられた。

再び立ち上がり、リニューアルを遂げた出雲崎レトロミュージアム。

中野館長は「気持ちを切り換えて、新潟の人や遊びに来られる方に喜んでもらえる施設を作りたいという思いで頑張ってきた。一般的な博物館と違い、横町の店の中や教室に入って間近で様々なものを見られて、体験もできる。マナーをしっかり守って楽しんでほしい」と呼びかけている。

(NST新潟総合テレビ)

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