2月、65歳の誕生日会見で、「戦後80年という節目を迎え、各地で亡くなられた方々や、苦難の道を歩まれた方々に、改めて心を寄せていきたいと思っております」と話されていた天皇陛下。

4月7日、皇后雅子さまと共に戦没者の慰霊のため、小笠原諸島の硫黄島にある慰霊碑を訪問されました。

太平洋戦争末期、アメリカ軍との激しい地上戦が繰り広げられた最激戦地の一つとして知られる硫黄島。

旧日本軍約2万2000人、アメリカ軍約7000人、さらに、軍属として徴用され島に残った島民82人が犠牲となりました。

両陛下は慰霊碑に花を手向けられた後、深々と拝礼し、慰霊碑に水を注ぐ「献水」を行われました。

そして、日米両軍の戦没者の慰霊碑がある「鎮魂の丘」や、戦争に巻き込まれた島民の霊を慰める「硫黄島島民平和祈念墓地公園」を訪れ、戦争で命を落とした人のために祈りを捧げられました。

現在、島で生活する人はいませんが、この日、両陛下を迎えたのは、親族がかつてこの島に住んでいた、元島民2世の麻生憲司さんです。

元島民2世 麻生憲司さん:
(戦争を)知らない世代としては、今後陛下が望まれている平和に対しての追求というか、平和を望む気持ちというのを、ぜひ今後ともお続けいただきたいということを私からもお願いしました。
上皇さまから受け継がれる“平和”への思い
今回、 “慰霊の旅”の始まりとなった、硫黄島。31年前の1994年に、現在の上皇ご夫妻も訪問されていました。

戦争を知る上皇さま。沖縄や広島、長崎はもちろん、2005年には戦後60年で米・サイパンを、2015年には戦後70年の節目として、パラオ・ペリリュー島をご訪問。

“戦争のない平成”を願い、先の大戦への「深い反省」を胸に、平和を祈る旅を続けられた上皇さま。もちろん、旅の中では、ご夫妻の訪問を快く思わない人たちの存在もありました。

1998年に、現在の上皇ご夫妻がイギリスを訪問された際は、旧日本軍の捕虜だった元軍人たちが、謝罪や補償を求め抗議を行いました。

2000年にオランダを訪問された際も、上皇ご夫妻に対する抗議が行われましたが、ご夫妻が記念碑に花輪をささげ、静かに戦没者への黙礼をささげられた姿を見て、広場は静まりかえり、会場を包む空気が一変したといいます。

フジテレビ皇室担当 橋本寿史解説委員:
皇室という方々にとっては、太平洋戦争というのは、避けては通れない。
苦難の歴史を皆さんよく理解されており、慰霊の気持ちというのを持ち続けてらっしゃる。同時に「平和の大切さ」というのがどれだけのものなのかということを、これからも国民に対して訴え続けられるのだと。

天皇皇后両陛下は今後、戦没者の慰霊のため、沖縄・広島・長崎なども訪問される予定です。
(「サン!シャイン」 4月8日放送)