ビールの主原料の一つ「ホップ」の産地である秋田・横手市。ここで地元出身の男性が始めたクラフトビールの醸造所が2月に本格始動した。地元の原材料を使った地産地消のビール造りに取り組む男性を紹介する。
好きが高じてビール造り決意
横手市役所近くでクラフトビールが楽しめる「sunao brewery(スナオブルワリー)」

クラフトビールの魅力を伝えようと、オーナーの津川渚奈於(すなお)さん(30)が2024年2月にオープンした。

横手市黒川出身の津川さんがビールの魅力を知ったのは、北海道の大学に在学していた時。語学留学していたドイツで飲んだクラフトビールのおいしさに感動し、就職した後も出張先でクラフトビールが提供される店を探してはその味を楽しんだ。
ビール好きが高じて「自分でビールを造りたい」と思うようになり、会社を辞めて東京のブルワリーで約3年半、ビールの醸造を学んだ。

そして横手市に帰郷した津川さんは、まずクラフトビールを味わえる飲食スペースを開き、県の内外の業者に製造を委託したクラフトビールの提供を始めた。

津川さんは「第一に横手市がふるさとであることと、横手がホップの産地であることが重要だった。生産量や品質は日本一だと思っているので、横手のホップを使ったクラフトビールを造れたらと戻ってきた」と話す。
こだわりは地元産の原材料
飲食スペースの隣りに醸造設備を整え、2024年12月から本格的にクラフトビール造りを開始した津川さん。

市内で生産されたホップをはじめ、地元産の原材料にこだわっている。
スナオブルワリーで造るクラフトビールは3種類。酸味を特徴としたものや、麦芽の甘味が楽しめるものなど、原材料の味を生かしている。

中でもイチ押しは、横手産のホップとリンゴの果汁を使った「Daily Lives of Yokote(デイリー ライブズ オブ ヨコテ)」。大麦に小麦麦芽も加えたウィートエールビールで、優しい苦味とリンゴの爽やかな香りを楽しむことができる1杯だ。
「最初のビールとしては上出来でおいしく仕上がった。飲んだ客からは『おいしい』と感動してくれる声や、苦手な人も『ここのビールは飲める』と言ってくれるのでうれしい」と笑顔を見せる津川さん。2月から提供できるようになったクラフトビールの評判は上々のようだ。
目指すは100%秋田県産のクラフトビール
今後は、月に2種類のクラフトビールを醸造していく予定だという。

津川さんは「横手産や県産の麦を使用して100%県産のクラフトビールを造りたい。横手市は意外と様々なフルーツが採れる。どれを食べてもおいしいので、ビールきっかけで県内外に知ってほしい」と意気込む。
「地域にあるものを素直に楽しんでほしい」という思いを胸に、“スナオ”という自分の名前を入れた醸造所で津川さんはクラフトビール造りに打ち込む。

sunao brewery・津川渚奈於さん:
クラフトビールは様々な味わいがあり、人や気分に合わせて楽しめる飲み物。地産地消や旬のものを食べるなど、人間として素直な場所にしていきたい。
スナオブルワリーから地元の魅力を発信し、この場所を目指して横手市に来る人が増えるようにしていくことで地元に恩返しをしていきたいと話す津川さん。挑戦は始まったばかりだ。
(秋田テレビ)