2024年12月に開かれた男子新体操の全国大会で、初出場ながら4位入賞を果たした中学生が秋田市にいる。自らの技を磨くことはもちろん、「男子新体操をもっと知ってもらいたい」という強い思いを胸に、将来を見据えて練習に励む選手を紹介する。
初出場ながら全国4位入賞
2月20日、秋田県の佐竹知事のもとを1人の少年が訪れた。

秋田市のジャンクションスポーツクラブ所属で、山王中学校3年の五十嵐明峰選手だ。
五十嵐選手は2024年12月、初めて出場した全日本ジュニア新体操選手権で、個人総合4位という好成績を収めた。

知事と面会した五十嵐選手は、「今回の大会は自分の中でも非常に納得のいく大会で、演技もいつも通り落ち着いてやることができた」と、初出場での入賞の喜びを語った。
強みは“表現力”と“強心臓”
ジャンクションスポーツクラブには約200人が所属。そのうち幼稚園の年長から高校1年生まで20人が新体操の競技選手だ。

五十嵐選手がクラブの門をたたいたのは小学2年の時。クラブの代表を務める大友淳さんは「当時から光るものがあった」と振り返る。

ジャンクションスポーツクラブ・大友淳代表:
入ってきて間もなくから先輩もたくさんいたが人間性もあってすぐにキャプテンに任命して、7年ずっとキャプテンを任せている。チームの核となる存在。

そんな五十嵐選手の強みは“表現力”。頭の先から足の先まで全てで演技する。五十嵐選手は「表現という部分で、観客を引き込むような演技ができることが強み」と自己分析する。
そして、全日本選手権での4位入賞。初出場ながらも大舞台で実力を十分に発揮できる“強心臓”の持ち主だ。

「東京に練習をしに行くというリラックスした気持ちで挑んだ大会で、特に順位は狙わない、自分のできる全力を出せればいいと挑んだ大会だった」と笑顔を見せた。
後輩たちが憧れるキャプテン
次なる目標へと意気込んだ矢先、右足を負傷してしまった五十嵐選手。とはいえクラブのキャプテン。下を向いてばかりはいられない。軽い練習をこなしながら人一倍声を出し、チームを活気づける。

五十嵐選手は「仲間がたくさんいて、練習は土日の限られた時間しかないので、みんなに1人1回は話しかけるようにしている」という。後輩に声をかけながら指導することもある。

後輩たちは、五十嵐選手について「みんなの憧れ。素晴らしい存在。イケメンで格好いい」と話す。
新体操につながる『竿燈』演技
私生活では、友人の間ではやっているゲームなどはせず、隙を見つけては新体操のYouTubeをチェック。「ゲームをやっていると新体操がうまくならない気がして」と研究に余念がない。

新体操漬けの日々を送る五十嵐選手だが、楽しみにしているイベントがある。それは、秋田の夏の風物詩『竿燈まつり』。毎年参加していて、小学校時代には妙技会で2年連続で優勝した経験を持つ実力者だ。
五十嵐選手は、ここでも新体操とのつながりは忘れていない。「竿燈は新体操に生きている」と話す。

五十嵐明峰選手:
竿燈はずっと上を見て演技するので、上を見て何かを感じる感覚はかなり竿燈の存在が大きいと思う。
次に狙うは優勝!将来は指導者に
中学卒業後は、男子新体操の強豪・青森県の青森山田高校に進学。

もう1つ上のレベルで次に狙うは優勝だ。
五十嵐選手は「いままで秋田でやってきたことをしっかり青森でも発揮して、全国優勝を目標に頑張りたい」と意気込む。

五十嵐明峰選手:
将来はパフォーマンス集団に入り、自分の新体操のスキルを生かした仕事をして、その後秋田に帰ってきて新体操の指導に関わりたい。
まだまだ知名度が低く、世界大会もない男子新体操。五十嵐選手は自らの演技力を磨くだけでなく、競技の面白さや楽しさを広める存在になりたいと心に誓う。
(秋田テレビ)