東京・表参道に期間限定でオープンした「プリングルズレストラン」では、チーズの香りや食感を活かし、五感を刺激する体験が提供される。プリングルズを全身で感じる仕掛けが特徴。
専門家は、こうした没入体験が消費者の記憶に残り、商品を選ぶきっかけになると評価する。
プリングルズが仕掛ける五感で味わう特別な体験
ポテトチップスをテーマに、五感を刺激する没入体験とは。

東京・表参道に20日から期間限定でオープンしたのは、世界140カ国以上で販売されているポテトチップスブランド「プリングルズ」の没入体験イベント「プリングルズレストラン」だ。

ケロッグ スナック本部 マーケティングマネージャー・加藤綾さん:
プリングルズは、人々の遊び心や好奇心を刺激するというところをブランドの使命としております。

プリングルズレストランは、2024年に発売された「Hi!CHEESE!」味を使った特別な演出で、五感を一つずつ刺激。
中に入ってみると、「プリングルズレストランのフルコース」と書かれた大きなパネルが登場。これから起きる未知の体験へと誘う。

まずは聴覚。「ここではプリングルズをより美味しく召し上がっていただくために、こちらのヘッドホンを装着していただきます」

食べている映像も流すことで、視覚と聴覚を同時に刺激する。

次は、嗅覚。チーズの香りを充満させた「チーズ砲」で、香りを全身で感じる。
濱辺くるみ記者:
チーズの匂いが体中にきました。

そして、いよいよ口が喜ぶ味覚。
「それでは、いよいよ人生最高のプリングルズをお披露目したいと思います。オープン!」

濱辺くるみ記者:
嗅覚と聴覚の体験を通して、1枚のプリングルズを食べることで、チーズの味をより深く感じることができました。

今回なぜ表参道で、この没入体験イベントを開催したのだろうか。
“最新”に敏感な人たちが集まり、トレンドの発信地とも言われるこの場所から、多くの人に広めてもらう狙いがあるという。

ケロッグ スナック本部 マーケティングマネージャー・加藤綾さん:
どうやったらお客様が「プリングルズっておもしろいことをやってるんだな」と思ってもらえるかというのを常に考えておりますので、今後も皆様の期待を裏切らないような体験・イベントを開催していけたらなと思っております。
人生最高のフレンチではなく、人生最高のプリングルズ!このイベントは24日まで開催する。
五感に刻まれる体験が商品選びのスイッチに
「Live News α」では、一橋ビジネススクール教授の鈴木智子さんに話を聞いた。
堤礼実キャスター:
プリングルズレストラン、どうご覧になりますか。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
世界140カ国以上で発売されているプリングルズも、日本では苦戦している印象があります。
ポテトチップスと言えば、7割以上のシェアを誇るカルビーか「のり塩」でお馴染みの湖池屋という方が多いですよね。
こうした中、「プリングルズもあるよね」と消費者に思ってもらうには、記憶に残るマーケティングが必須となります。具体的には、今回のような没入体験が有効なんです。
堤キャスター:
それは、どういうことなんでしょうか。
一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
五感に訴える没入体験は、強い印象を与えることができます。今回の「プリングルズレストラン」では、耳に響く食欲をそそる音、鼻をくすぐるチーズの香り、口が喜ぶ美味しさ。
どれも消費者に強い印象を与え、記憶を刻み付ける効果があります。
こうした体験をした消費者はポテトチップスを食べたいと思った時に、スイッチが入ったように「プリングルズ」を選ぶ可能性があります。
記憶に残る体験と予想外の仕掛けがファンを生む
堤キャスター:
特別な体験をきっかけに、その商品やサービスのファンになることってありますよね。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
体験はエピソード記憶とも言われています。たった1回であっても、その記憶は何年も長持ちすることがあります。
これはマーケティングとしては極めて効果的であり、効率的と言えるかもしれません。
もう一つ、今回の試みで興味深いのは、消費者を引きつける仕掛けの上手さがあることです。
堤キャスター:
その仕掛けの上手さとは。
一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
「ポテトチップスがレストランをやる」ことで、これはどういうことだろうと、消費者に疑問を抱かせることができます。
私たちの脳は想定内の情報よりも、予想外の情報に強く反応します。
そうすると「行ってみたい」、「試してみたい」と思ってもらえます。
市場で適度な競争が行われることは、魅力的な商品の創造に繋がります。
私たち消費者の好奇心を刺激するような、企業のマーケティングの取り組みが楽しみです。
堤キャスター:
「行ってみたい」、「試してみたい」という好奇心の刺激こそ、商品やサービスのファンをつくるための鍵なのかもしれませんね。ワクワクが溢れる期間限定のレストラン、私も行ってみたいと思いました。
(「Live News α」3月20日放送分より)