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「やるせないね…」山火事で10億円の被害…漁協の悲痛な叫び 漁具を失い「廃業」の言葉が漏れる…それでも海に出る漁師たちの再起への覚悟「もうやるしかない」【岩手発】|FNNプライムオンライン

「やるせないね…」山火事で10億円の被害…漁協の悲痛な叫び 漁具を失い「廃業」の言葉が漏れる…それでも海に出る漁師たちの再起への覚悟「もうやるしかない」【岩手発】

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大船渡・山林火災

岩手県大船渡市の綾里漁業協同組合では、山林火災により定置網などを保管していた倉庫が焼失し、被害額は10億円に上る見通しだ。「家も焼かれ、倉庫も焼かれ…」「働く意欲もない」漁師の悲痛な叫び。
しかし、漁師たちは諦めることなく、ワカメの水揚げに向けて焼けた流木の撤去を行うなど、復興への一歩を踏み出している。地域の水産業を守るため、覚悟を持って海に出る漁業関係者たちの姿を追った。

「なんでこんな思いを」悲痛な叫び

2月26日に岩手県大船渡市で発生した山林火災は約2900ヘクタールを焼き尽くした。綾里漁港がある港地区では、住宅や倉庫など42棟の建物が被害を受けた。3月7日に空から撮影された映像には、火事の爪痕がはっきりと残されていた。

42棟の建物が被害を受けた綾里漁港がある三陸町綾里の港地区
42棟の建物が被害を受けた綾里漁港がある三陸町綾里の港地区
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綾里漁港はワカメの養殖や定置網漁が盛んな地域だ。海からほど近い陸地へと目を向けると、焼けた建物など至るところに火事の被害が確認できる。

綾里漁業協同組合の倉庫も例外ではなかった。漁業に欠かせない道具である定置網4セットなどが保管されていたが、全て焼失してしまった。

「なんでこんな思いをしなければならないのか。やるせないね…」と亘理孝一さん
「なんでこんな思いをしなければならないのか。やるせないね…」と亘理孝一さん

綾里漁協理事の亘理孝一さん(71)は肩を落とし、「複雑だね。なんでこんな思いをしなければならないのか。やるせないね…」と嘆いた。

焼失した定置網などの被害額は総額で約10億円に上る。新たに購入して再び網を設置するまでには、納期も含めて1年はかかると見込まれている。

亘理さんは、「家も焼かれ、倉庫も焼かれ、資材なども全部燃えてしまった人たちは、水揚げするとなっても到底無理だと。共済で対応してもらえないかという要望が強くあった」と語った。

「廃業」の言葉が漏れる中での決断

3月12日、綾里漁協では組合員らが集まり、今後の漁業について話し合いを行った。その結果、定置網を新たに購入することや、避難指示により開始時期がずれ込んでいた養殖ワカメの水揚げを早急に行うなどの方針がまとまった。

しかし亘理さんによると、今後の見通しが示された一方、悲観的な発言もあったという。「この現状では、生産意欲もないし働く意欲もないから『廃業』という言葉が出た人も何人かあった」と振り返る。

綾里漁協の倉庫にあった定置網などを全て焼失
綾里漁協の倉庫にあった定置網などを全て焼失

それでも、「みんなで支援するから頑張ってやりましょう」と励ましの言葉をかけたが、「廃業したい気持ちにはなると思う」と亘理さんは漁師たちの複雑な心境を語った。

急ピッチで進むワカメ水揚げの準備

漁師の大平秀男さん(56)は、漁協の会合で今後の方針が固まったことを受け、12日からワカメの水揚げの準備を急ピッチで進めていた。大平さんは、「いつもなら2月の末10日間くらい準備をしてワカメ刈りが始まるけど、今回は急きょパッと出して(船を)すぐ操業という形になる」と説明した。

13日朝、大平さんはワカメの状態を確認するため綾里漁港を出発した。養殖棚へ向かう途中、焼けた山肌など火災の爪痕が目に入る。

「綾里崎灯台(のある半島の)先端まで火が来た」と大平さんは語った。

ワカメをじっくり確認する大平さん
ワカメをじっくり確認する大平さん

あわせて3キロの範囲に広がる養殖棚に到着すると、大平さんはワカメを手に取りじっくりと観察した。気にかけていた生育状態については、「いい感じ」とほっとした様子を見せた。

5メートルを超える焼け焦げた流木

港に戻ると、山林火災の影響で普段は見られない光景が広がっていた。5メートル以上はあるかと思われる大きな流木が、船に載せられて回収されていたのだ。

5メートルを超える焼け焦げた流木を船で回収
5メートルを超える焼け焦げた流木を船で回収

山林で焼けて海に落ちた流木が養殖棚に触れると、ワカメが落ちたり傷ついたりするおそれがある。そのため、漁業関係者らが回収作業を行っていた。

大平さんも「自分の養殖棚にあった木です」と語り、その流木の大きさと焼け焦げた様子から、山林火災の激しさを物語っていた。

「もうやるしかない」覚悟の海へ

大平さんは、海に出られなかった約2週間を振り返り、「(海に)出られない、何もできない、ただ待つしかない状態だったのでモヤモヤしていたけど、これで生計を立てているので、もうやるしかない」と決意を語った。

15日には、ようやくワカメの水揚げを予定している大平さん。先行きが明確に見通せない中、漁業関係者たちは地域の水産業を守るため、覚悟を持って海に出ている。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
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