熊本地震からの復旧工事が続く熊本城。その中で被災前、観光客から特に人気の高かった建物の復旧について3月7日にひとつの方向性が示された。その建物とは豪華絢爛な『昭君之間』(しょうくんのま)などが見所の本丸御殿で、一部解体のうえ復旧されることが決まった。

被災し立ち入り禁止が続く本丸御殿

本丸御殿は加藤清正の時代に建てられたものの、1877年の西南戦争で天守閣と共に焼失した。

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その後、平成の復元整備事業の一環として2008年に再建。特に清正が、豊臣家の有事の際に秀頼をかくまうために造ったといわれる『昭君之間』は豪華絢爛な障壁画や天井画が訪れた人を魅了していた。

2016年の熊本地震では建物下が地盤沈下し、傾きが生じるなどの被害が出て立ち入り禁止の状態が続いている。

数寄屋棟はいったん解体 本丸御殿復旧へ

そして3月7日、熊本城文化財修復検討委員会で事務局が「数寄屋棟です。こちらは全解体修理を行います。建造物下の石垣に被害があったため、建造物をいったん解体し、石垣復旧工事後に建造物を復旧します」と復旧案を明らかにした。

本丸御殿のうち建物下の石垣を積み直す必要がある西側の一部、数寄屋棟については、いったん解体。そのほかの部分は構造補強や修繕で復旧する案が事務局の熊本市から示された。

北原昭男委員(建築学)は「石垣がある程度影響があるのであれば、切り離して考えるのはやむを得ない」と建築や土木工学などの専門家で構成する委員会はこれを承認した。

また、千田嘉博委員(考古学)は「清正をはじめとした武将・大名が、どんな所で生活したのかを実感できる熊本城にとっては、なくてはならない場所が本丸御殿。それをこういった工法で見ていただけるようになるのは重要な意義がある」と述べた。

本丸御殿の復旧工事は2027年度から行われ、2032年度完成の予定。

(テレビ熊本)

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