「国内屈指の難工事」と言われた長野県飯田市と静岡県浜松市を結ぶ青崩峠トンネルの完成式が行われた。開通時期はまだ未定だが、恒例の綱引き合戦も行われるなど、両市の期待感は高まっている。
「国内屈指の難工事」トンネル完成
3月2日、トンネル内に集まった飯田市と浜松市の関係者。この場所は、飯田市南信濃と浜松市水窪町を結ぶ全長4998メートルの「青崩峠トンネル」(仮称)だ。

計画浮上から40年以上がかかり、「国内屈指の難工事」とも言われたが、トンネル本体の工事が終わり、2日、完成式が行われた。
「酷道」「点線国道」と呼ばれた国道
長野県上田市から浜松市を結ぶ国道152号線。崩れやすい地質の「青崩峠」で途切れた状態が続き、「酷道」や「点線国道」とも呼ばれてきた。

国は1983年にトンネルを通す計画を事業化するが、地盤がもろく工事を断念。しかし、技術の向上を受け2019年から工事を再開していた。そして、2023年5月、トンネルが貫通した。
その後、トンネル本体の工事も終了。今後、電気設備などの工事が進められる予定だ。
トンネル内の県境で綱引き
2日の完成式で会場を盛り上げたのが、綱引きだ。毎年10月に、県境をかけて兵越峠で信州軍と遠州軍が対決する「峠の国盗り綱引き合戦」で今回はエキシビションマッチとして、トンネル内の県境で開催された。

1回目は遠州軍が勝ったが、2回目は信州軍が勝利。1勝1敗の引き分けだった。
「40分が6分に」今後の交流に期待
それぞれの住民からは、今後の交流への期待の声が聞かれた。飯田市の住民は「浜松がより近くなったということで観光に行ったり、いろんな人が来てくれたらと思います」と話し、浜松市の住民は「リニアもありますし、交通の便で期待しています」と話した。

これまで、う回路で40分程かかっていたが、トンネルが開通すれば、6分に短縮される。
着工していない区間もあるため、開通時期はまだ未定だが、関係者の期待感は高まっている。
飯田市・佐藤市長は「山を越えていくという心理的な壁が取り払われることで、静岡県側、太平洋側の人たちが大勢お見えになるのではないかと期待します。しっかり受け入れ側の準備を進めたいと思います」と期待を寄せた。
(長野放送)