熊本県立高森高校マンガ学科で学ぶ生徒たちが、熊本空港をテーマに描いた新作漫画が旅行客を楽しませている。

プロを目指す熊本県立高森高校マンガ学科

熊本県立高森高校マンガ学科。高森町内に第2本社を構える出版社『コアミックス』が全面的に協力し、漫画家や編集者を育成している。公立高校では全国初の取り組み。

この記事の画像(12枚)

若者たちが日々プロの指導を受けながら作品作りに取り組んでいて、特色ある高校づくりのモデルケースとして注目されている。

2024年11月6日にマンガ学科の生徒たちがやってきたのは熊本空港。空港そのものや働く人を取材し、それをテーマにオリジナルのマンガを生み出そうという授業の一環だ。

熊本空港やANAの職員から説明を受けながら空港内・展望デッキなどでイマジネーションを膨らませる。

話し合ったすえ、今回の取り組みを『そらコミ』プロジェクトと名づけたマンガ学科の生徒たち。空港の『そら』と『コミック』を掛け合わせたネーミングだ。授業や部活の時間を使って、4ページのマンガを創作することになった。

生徒がプロットからネームを起こし作画

高森高校マンガ学科1年の林蘭さんは「パイロットの父と息子の話なんですけど、息子とお母さんは旅行に行って。でもお父さんはパイロットの仕事で一緒に旅行に行けない。『お父さん嫌い』って言っちゃうんですけど、(自分たちの便を)操縦してる人がお父さんだった、みたいな」と考えたストーリーを話してくれた。

まずは簡単なイラストや文字でストーリーの骨組みとなる『プロット』をまとめる。世界観が固まってきたら、実際のコマ割りや構図を決めていく『ネーム』という工程に移る。

高森高校マンガ学科1年の太田樹里さんは「パイロットになりたい女の子の物語を、女性パイロットが少ないっていう話だったから。女性にスポットライトを当てたほうが夢をかなえるっていうところの感情が伝わりやすいのかなって思って」と、マンガの狙いを話してくれた。

約4カ月かけて筆を走らせた生徒たち。当初の構想から大きく転換した作品もあったが、ついに8つの物語が仕上がった。

完成した8つの作品「引き込まれる」

完成した作品は熊本空港の展望デッキそばに飾られ、3月31日まで旅行客の眼を楽しませている。

茨城県から来た大学1年生は、幼い女の子がパイロットの夢をかなえる「空を飛ぶ」に目を止め、「熱量を感じられるというかすてきな部分があって、このまま成長して漫画家になって私も読者の一人になれたらと思います」と話した。

また、東京からの大学生たちは「高校生が描いたとは思えないほどクオリティーが高くて、全部目が引き込まれるっていうか」や「このマンガは他の作品と比べると、吹き出しが少ないなっていう印象を受けたんですよね。人によって感じ方が違う、そんなマンガなんじゃないかなと思います」と話した。

日本語の勉強をしているという台湾からの観光客は「(日本語の)学校にある日本のマンガが好きです。日本の作品は(キャラクターが)とてもカワイイから」と話した。

未来の漫画家たちが思いを込めた8つの作品。いま、熊本の空の玄関口を彩っている。

(テレビ熊本)

テレビ熊本
テレビ熊本

熊本の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。