長野県松本市の弘法山古墳についてです。桜の名所として知られていますが、市の調査により、造られた年代が「日本最古級」である可能性が浮上。さらなる歴史の解明に期待が寄せられています。
■桜の名所に「日本最古級」説
満開の桜に覆われた山。
松本市の「弘法山古墳」です。
標高652メートルの山頂からは松本平を一望することができ、桜と北アルプスの共演も。
1980年代から桜の植樹が始まり、桜の名所として親しまれています。
その古墳に今、「日本最古級」である可能性が浮上しています。
松本市立博物館・小山奈津実さん:
「現在の学術的な目(視点)から再検討した結果、古墳の築造年代がこれまで考えていた時代よりも50年古くなり、“3世紀前半から半ばころ”と推定された」
■当時の鑑定は「”東日本”最古級」
弘法山で初めて本格的な調査が行われたのは1974年。
付近の土地造成のため発掘を行ったところ古墳の中で最も古い「前方後方墳」と分かりました。
「後方部」には石室があり、そこから大量の土器や副葬品も出土しました。
当時の鑑定結果からは、古墳時代初期=3世紀後半に造られた「東日本最古級である」とされてきました。
■50年後の再調査 大きさ判明
最初の調査から50年―。
松本市立博物館・小山奈津実さん:
「階段を少し上がったあたりから古墳で、ここが前方後方墳の後方部の一辺になる」
松本市立博物館の学芸員・小山奈津実さんは、2020年度から行われた再調査に携わってきました。
松本市立博物館・小山奈津実さん:
「墓になるので敬意をはらうというか、最初、調査に入るときに『入らせていただきます』と言いながら」
再調査では、周辺に「トレンチ」と呼ばれる溝を掘り、古墳の正確な形や大きさを探りました。
(記者リポート)
「今回の調査では古墳の大きさも明らかになりました。階段の下から坂の下まで長さが約62メートルあるということです」
■奈良の古墳の技術が伝わってきた!?
形や大きさが判明したことで、全国の古墳との比較検証ができるようになりました。
松本市立博物館・小山奈津実さん:
「研究の1つとしては奈良・ホケノ山古墳の技術が伝わってきたのではないか」
奈良県桜井市にあるホケノ山古墳は、3世紀半ばに造られた「日本最古級の古墳」ともいわれています。
弘法山古墳と構造が似ていて、技術が伝わってきた可能性が考えられています。
■ヤマト政権より前の「最古級」か
さらに、過去に出土した土器などを現代の技術で分析し当初の見立てより古いことも分かりました。
これらの結果から弘法山古墳が造られたのは、当初の見立ての「3世紀後半」より50年ほど早い、「3世紀前半から半ばごろ」と推定されるということです。
松本市立博物館・小山奈津実さん:
「ヤマト政権が成立する前の時期に、独自の古墳が造られていたのではないか。古墳時代のはじまりを知るために貴重で重要な古墳」
古墳時代の始まりは3世紀後半で、「古墳」ではなく、「墳丘墓」とする見方もありますが、ヤマト政権よりも前に築いていた「日本最古級の古墳の一つ」である可能性が出てきました。
■「想像すると楽しい」
訪れた人は―。
名古屋から:
「(実際に見ると)ますます興味が湧いてくる。もっといろいろなことが分かってくると思うので楽しみ」
富山から:
「こんな四方が見渡せる古墳で、力のある人が眠っているのかなって想像したら楽しい」
松本市立博物館・小山奈津実さん:
「桜だけではなくて貴重な古墳があることを市民の方に知ってもらう機会になればうれしい。整備が行われ、愛され、親しみを持ってもらえる場所になったら」
市はさらに検証を進め、12月のシンポジウムで報告する予定です。
