「飛騨牛乳」などを生産する岐阜県高山市の飛騨酪農農業協同組合が、2025年3月末で解散することが分かりました。解散の背景には、酪農家の減少や飼料の高騰などの影響もあるようです。

■地元で愛されるブランドが…消滅の危機に

高山市の学校給食で長年親しまれてきた「飛騨牛乳」のブランドが、消滅の危機を迎えています。関係者によりますと、飛騨牛乳を製造販売する協同組合が2025年3月末で解散し、製品の生産も止まるということです。

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飛騨牛乳は品質の高さで知られる人気の地域ブランドです。高山市を地盤に100年ほど前に営業を始め、コーヒーやヨーグルト、贈答品なども人気です。

地元の人々にも身近な存在です。

喫茶店の店主:
飲んでいてもコーヒーとの相性がいいように感じます。なじみがある牛乳ですし、消えちゃう可能性があるのは寂しいですよね。

銭湯の店主:
一言で寂しいですね。他のメーカーもあるけど、やっぱり味が違うんですよ。それが果たしてお客さんに受け入れてもらえるかどうか。

飛騨牛乳は、名古屋などにも販路を広げていましたが、関係者によりますと、2002年に着手した新工場の整備で費用が見積もりの2倍ほどに膨れ、工事も長期化したといいます。運転開始までに7年を要し、多額の借金を抱えることになってしまったということです。

■高齢化に資料高騰…酪農家に厳しい環境

高山市のサンライズキャトルファームは、乳牛およそ400頭を飼育し、飛騨牛乳のおよそ半分を生産しています。

足立松吾取締役:
僕らの中でできることがないかなと模索していたんですか、資金繰りだったりの関係でどうしても無理だというのがあったので、仕方ないのかなと感じています。

組合の解散に至る背景には、高齢化などによる酪農家の減少や、飼料の高騰なども影響があったといいます。

サンライズキャトルファームでは4月以降、飛騨牛乳としての提供はできなくなりますが、出荷先を変更して今後も生産を続ける予定です。

足立松吾取締役:
今後も「飛騨牛乳」というブランドは地元には必要なのかなという部分があるので、資金だったりの兼ね合いがつけば、また復活というのを僕も望んでいますし、できればそういう方向でこの先、動いていければと思っているんですが。

名古屋市内の販売店が客に配布する予定のチラシには「飛騨牛乳への愛着心が強く、何とかして生産継続を願っていましたが、叶わない事態になってしまいました」「飛騨牛乳の勝手な行動で2月末までとなってしまいました」「お客様には申し訳なく、懺悔の念に堪えません」などと記されています。

高山市と下呂市以外での飛騨牛乳の供給は2月で終了します。協同組合の岩長明宏組合長は「農家、消費者、職員の期待を裏切る形になってしまって申し訳ない」とコメントしています。

(東海テレビ)

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