近年、さまざまな分野で広がりを見せるサブスクリプションサービス。その波が今、不動産業界にも押し寄せている。
■【動画で見る】「サブスク賃貸」家賃だけで美容室やネイルサロンが利用できる「カレーライス」のサービス目当てに入居する学生も
■「家賃に美容室代が含まれている」新感覚の賃貸物件

大阪梅田の中心部にある「INOVE+(イノベプラス)」。 一見すると普通の美容室に見えるが、実は不動産賃貸管理会社が運営する、入居者限定のサービス施設だ。
(Q.普通の美容室とは違うんですか?)
第一住建 松尾武代表:月々お支払いされている、健康と美容の代金が家賃に含まれるサービス。
(Q.家賃に美容室代が最初から入っちゃってる?)
第一住建 松尾武代表:そういうことになります。
実は2月1日にオープンしたばかりの美容室。 このサービスの対象となる賃貸マンションに住む人は、月1回無料で美容室を利用できるという、不動産業界初のサブスクサービスだ。

お客さんに話を聞いてみると…。
対象物件に妻・娘と3人で暮らす男性:一緒に同居者登録している家族も同じサービスが受けられる。大学生の娘が一番喜んでいた。『お父さん、偵察行ってきて』というので(来た)。
対象物件に住んでいる 大学2年生:どこで切っても高いので、無料は助かっています。(住んでいるのは)鉄筋コンクリートの7帖ぐらいの部屋。家賃は6万8000円。美容費もコミコミって考えたら全然安い。
■不動産業界の新戦略「サブスク賃貸」
無料サービスとなると、気になるのはクオリティだ。 田中友梨奈アナウンサーが身をもって技術をチェックした。

田中友梨奈アナウンサー:美容師歴はどれぐらいですか?
美容師:20年ぐらい。
経験豊富なベテラン美容師さん。カットを終え、田中アナウンサーは満足そうな顔だ。

さらに驚くべきことに、歯のセルフホワイトニングや、アイサロンでのマユスタイリング、まつげパーマまでもが無料で受けられるのだ。

一見すると採算が合わないように思えるサービスだが…。
第一住建 奥田恒弘本部長:これ単体でみると、採算は合わない。管理業という収益の中で、トータルとして考えている。管理会社としては、入居者さまに満足いただいて、入居率を高めていくことが、オーナーにも満足してもらえることにつながる。私たちも管理する物件の入居者が増えることで収益を上げることができる。
不動産管理会社にとっては、入居率を高め、空室期間を短縮するための戦略なのだという。

不動産業界に詳しいライフルホームズ総研・中山登志朗副所長は次のように分析する。
ライフルホームズ総研 中山登志朗副所長:空室イコール家賃が0円。なるべく長く借りていただきたい。もしくは、空室期間をなるべく短くしたいというのが本音。そのためのサービスとして付加価値を付ける。
ライフルホームズ総研 中山登志朗副所長:ひと昔前だと『フリーレント』(入居後、一定期間の家賃が無料になる契約形態)で募集を行う賃貸物件もありましたが、借り手がつかないからフリーレントをつける印象を持たれるケースも。付加価値を高めてポジティブな印象を持もらう方が、借り手が付きやすい。メリットが大きい。
■「これがあるから決めた」という学生も
実はこの施設、梅田は2号店だそうで、最初にオープンしたのが、東大阪市の長瀬。

サービスのヘビーユーザーである近畿大学3年生の鬼塚さんは、8畳のリビングとロフト付きの広々とした1Kマンションに住んでいる。 家賃は5万7000円程度だが、サブスクサービスを最大限に活用することで、毎月1万2500円相当がお得になっているという。
サービス愛用者 大学3年生の鬼塚さん:このサービスがあるから、その物件に決めた。

そう話す鬼塚さんが、月4~5回利用しているサブスクサービスが「カレー」だ。「めちゃくちゃおいしいんですよ」という。
■「カレー」まで食べられるサービスに驚き
驚くべきことに、美容サービスだけでなく、カレーまでもサブスクの対象になっている物件があるのだ。

月5回まで無料で利用できるこのカレー店は、カレー通の俳優・松尾貴司さんが監修した本格派の味わいを提供している。

サブスクではないお客さん:最近来ていて、週1とかで来させてもらってます。(サブスクサービス)全然知らなかった。職場が近いから食べに来てただけ。(ポスター見て)全然気づいてなかった。
このカレー店は一般の人も利用可能で、サブスクサービスを知らずに訪れる常連客もいるほどの人気店だ。
■新時代の「おっカネー」サブスク
不動産業界が仕掛ける新たなサブスクサービスは、入居者の生活の質を向上させるだけでなく、企業の収益性も高める画期的な取り組みだ。

美容に食事、そして住まい。生活の基本を網羅したこの新しいサブスクの形は、令和らしい「おっカネー」サービスだといえる。
(関西テレビ「newsランナー」2025年2月7日放送)